恩送り(8月2日)

AI要約

29歳の男性が能登半島地震の被災地で地質調査に従事し、地滑り現場の調査や地層観測を行った。

彼は過去の災害経験が役立ち、復旧工事の準備に貢献した。

過去の経験から被災地の若者の復興活動に思いを馳せ、復興支援に対する感謝の気持ちを強くした。

 二本松市の地質調査会社で働く29歳の男性は先月上旬までの約2カ月間、能登半島地震の被災地にいた。石川県輪島市の大規模な地滑り現場周辺をボーリング調査し、地層の観測機器を設置した。復旧工事に先立つ大事な仕事だった▼山の斜面が木の根ごと崩れ、道路は陥没していた。自然の猛威に言葉が出なかった。会社の先輩らと毎日、宿から車で約1時間半かけて通った。限られた水利と暑さに抗しながらの作業が続く。会津地方の豪雨災害現場での経験が役に立ったという▼東日本大震災発生時は二本松工高(現二本松実高)の生徒だった。友人宅で激しい揺れに襲われ、ばらばらと屋根瓦が落ちる様子に「大変なことになった」と青ざめた。ふくしま復興の掛け声の中で卒業、就職し、インフラを支える側として腕を磨いている▼「あの時も自分たちのために、県外から誰かが助けに来てくれた」と、能登半島を訪れて改めて思った。住民からは「遠いところをよく来てくれた」と感謝され、やりがいを感じた。思えばあの日、中学、高校生だった若い力は、これまでどれほどの被災地の復興に尽くしてきただろう。ふくしまからの恩送りを担う皆さんに頭が下がる。<2024・8・2>