南極料理人が経験語る 南房総の鈴木文治さんが公民館講座で80人に(千葉県)

AI要約

南極地域観測隊の調理担当を務めた鈴木文治さんによる講演会が開かれ、南極での食事や隊員らの任務について約80人が話を聞いた。

鈴木さんは南極での生活や食事、隊員らの研究について詳細を解説し、南極ならではの食事の制約や水耕栽培での植物育成の取り組みについて語った。

参加者からは、南極での料理に興味を持つ声も上がり、特に水耕栽培に驚きや興味を示す者もいた。

南極料理人が経験語る 南房総の鈴木文治さんが公民館講座で80人に(千葉県)

南極地域観測隊の調理担当を務めた南房総市の鈴木文治さんによる講演会「料理人が見た南極のリアル」が21日、同市三芳農村環境改善センターで開かれた。同市丸山公民館の主催講座で、5歳から80代までの市民ら約80人が、南極での食事や隊員らの任務について話を聞いた。

2009年から越冬隊3回と夏隊1回、過酷な任務を行う隊員らを「食」で支え、直近では第65次夏隊の一員として、昨年10月から今年2月まで任務に就いていた鈴木さん。今回は、地元の人らに南極での貴重な経験を語ってもらおうと「三芳地区生涯学習推進員講座」として企画された。

鈴木さんは、南極大陸の紹介や昭和基地での生活、隊員らの研究について、映像や写真を用いて解説。昭和基地に持ち込む1年分の食品は約37トン。焼き魚にみそ汁、白米といったシンプルなメニューを中心に、季節のイベントに合わせてランチビュッフェや手巻きずしなどの特別メニューも提供しているという。

「南極は制約が多く、娯楽も少ない。厳しい住環境で生活する隊員たちにとって、食事は毎日の楽しみ。メニューの構成には気を遣っている」と話し、「常に氷点下の南極では、なんでもすぐに凍ってしまうので、食材を適温に保つためにも冷蔵庫や冷凍庫が必要」といった南極ならではの一面も語った。

また、水耕栽培で植物を育てる研究も行われていて、レタスやバジルのような葉物野菜は生育に成功。すでにサラダなどで使用しており「メニューに彩りが出せるので、トマトのような実がなる植物ができたら」と期待を寄せた。

料理に興味があり参加したという安房高校の中村陽大さん(15)は「水耕栽培で植物を栽培していることや、つくれるメニューが想像よりも多いことに驚いた。調理担当として南極に行ってみたい」と感想を話していた。