佐賀県の出生率1・46、4年連続減…28年ぶりに転入者が転出者を上回る「社会増」に転じる

AI要約

厚生労働省が2023年の人口動態統計を発表。佐賀県の出生率が4年連続で減少し、死亡数が横ばい。婚姻件数や離婚件数にも変化があった。

県内は28年ぶりに「社会増」に転じ、外国人の転入増が一因。県が外国人支援や多文化共生に力を入れている。

未婚化やコロナ禍の影響などにより出生数が低下している一方、外国人労働者の増加が人口減を緩和する側面もある。

 厚生労働省が5日に発表した2023年の人口動態統計(概数)で、佐賀県内の「合計特殊出生率」(1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数)は1・46となり、前回から0・07ポイント減った。減少は4年連続で、国全体でも同様の傾向が続く一方、県内では転入者が転出者を上回り、28年ぶりに明確に「社会増」に転じるなど明るい兆しも出ている。(上本虎之介)

 発表によると、合計特殊出生率1・46は全国6位(前年7位)。出生数は5144人(前年比408人減)で、人口1000人あたりの出生率は、全国5位だった前年を0・5ポイント下回る6・5で6位だった。

 死亡数は1万1199人で前年とほぼ横ばい。人口1000人あたりの死亡率は14・2で、全国平均の13・0を上回った。死因は多い順に悪性新生物(がん)が2674人、心疾患(高血圧性を除く)が1505人、老衰が1216人などだった。

 平均初婚年齢は、夫が30・2歳、妻が29・2歳で、いずれも全国平均より若かった。婚姻件数は前年より221件少ない2730件、離婚件数は109件多い1150件だった。

 県内では、03年から21年連続で死亡数が出生数を上回る「自然減」となっており、減少人数は過去最多の6055人だった。出生数や合計特殊出生率の低下について、県こども未来課の担当者は「未婚化や晩婚化に加え、コロナ禍で婚姻や出産の機会に影響があったと考えられる」と話す。改善に向けて「現場の声を一つずつ聞いて、取り組みにつなげたい」とする。

 こうした中、昨年10月1日時点の人口推計では、県内は28年ぶりに明確に「社会増」を記録。人口減を緩和している側面もある。転出2万3717人に対し転入は2万4017人で、300人増加。転入者の7238人が外国人で、主にコロナ禍で抑制されていた外国人の転入増が関係しているという。

 県は外国人を念頭に、市町と連携した日本語教室や、採用する企業の要望に合わせた研修の開催など、様々な支援を行っている。外国人労働者も年々増加しており、山口知事は「多文化共生にも力を入れながら、農業など新たな分野にも外国人に働いていただけるような環境を整えていくことが大事」としている。