真剣に保育の未来考える、市中央図書館100周年シンポジウム、児童文学作家の村中さんら招く【山陽小野田】

AI要約

山陽小野田市中央図書館(山本安彦館長)の開館100周年を記念したシンポジウムは、保育に関わる人々が未来を考える場となった。

児童文学作家の村中李衣さんが、市内と宇部市にあるこぐま保育園の保育に感銘を受けて、保育のヒントを探求し『立ちあう保育』を出版した。

パネリスト達は、こぐま保育園での写真展示を通じて保育に対する新たな視点を共有し、子どもたちの自主性や幸福について考えを深めた。

真剣に保育の未来考える、市中央図書館100周年シンポジウム、児童文学作家の村中さんら招く【山陽小野田】

 山陽小野田市中央図書館(山本安彦館長)の開館100周年を記念したシンポジウム「いのちが喜びあう、保育の明日へ」は2日、同館で開かれた。保育に関わる人を中心に80人が聴講し、保育の未来について一緒に考えた。

 

 市内在住の児童文学作家、村中李衣さんが市内と宇部市にあるこぐま保育園の保育に感銘を受けて『立ちあう保育 だから「こぐま」にいる』を今春出版したのをきっかけに、子どもを伸び伸びと情緒豊かに育てるヒントを探った。

 

 パネリストは村中さん、小野田めぐみ幼稚園の佐野太園長、市子育て支援課参与で元埴生幼稚園園長の高橋和世さん、児童書専門店「こどもの広場」(下関市)主宰の横山眞佐子さんが務めた。

 

 会場には、こぐま保育園の保育士が園生活を撮影したたくさんの写真が飾られた。稲刈りをしてわらをはぜに掛けている様子、ヒツジの毛を刈っているのをみんなで見守るシーン、草の上で寝そべり太陽の光を全身に浴びている写真などが興味を引いた。

 

 村中さんは「幼稚園や保育園の写真というと、とかく笑顔にあふれるものが多いが、こぐま保育園では泣いている写真もたくさん撮影し飾っている」と、パネリストに写真の感想を求めた。

 

 佐野園長は「保護者を意識して泣いている写真などはあえて表に出さないが、子どもと向き合っているのが伝わってくる」、高橋さんは「泣き顔の後に、きっと笑顔に向かっているだろうと感じた」、横山さんは「実は子どもは大人以上に生きる力がある」と写真の向こう側を想像した。

 

 横山さんは、通園しても教室の中に入らなかった子が1カ月後に通常の園生活を送り始めたのを見守った体験から「園児が自分で考えて決めた行動。大人の考えで促すのではなく待ち続けることが大事」、佐野園長も「子どもと対等な関係で向き合うことが必要」と経験談を話した。

 

 村中さんは「こぐま保育園で給食を頂いた際、子どもたちから『きょうはマグロ丼だよ』と言われた。赤いダイコンをマグロの刺し身のように盛り付けたものだったが、子どもたちはファンタジーの世界で生きていると実感した。親が安心する保育を優先するのではなく、そんな共感する保育で子どもも大人ももっと幸せになれる」と呼び掛けた。