ドラッカーより役立つ!? ヤクザに学ぶ「強い組織」のつくり方

AI要約

ヤクザの生き方を通じて、組織の管理システムや連絡体制について学ぶ。

若い衆の管理や犯罪被害防止のために、K会は徹底した連絡体制を敷いていた。

幹部のリーダーシップによる管理は組織全体に意志を伝え、組織の効率を高めていた。

ドラッカーより役立つ!? ヤクザに学ぶ「強い組織」のつくり方

年功序列、終身雇用が崩壊し、欧米型の雇用環境に変わりつつある日本。これからのシビアな社会を生き抜くには、ただの「いい子」ではやっていけません。そんなときヒントになるのは、生き残りを賭けた戦いを日々、繰り広げている裏社会の人たち……いわゆるヤクザの生き方です。リーダーシップ、錬金術、逆境の乗り切り方など、彼らヤクザの「戦略」がよくわかる『ヤクザに学ぶサバイバル戦略』より、その一端をご紹介しましょう。

もう10年以上前のことになるが、K会は若い衆に対しては徹底的に管理する方式を取っていた。

まず事務所は24時間態勢、幹部10人はいつでも連絡が取れるシステムになっていたのはいうまでもない。ケータイが普及していなかった時代は、10人全員がポケットベルを持っていたのだ。そのため、どんな緊急事態が勃発しても、30~40人の集合は20分以内で可能――ということだった。

興味深かったのは、事務所において、全組員のその日の居場所、動向をすべてチェックしているというのだ。

全員の若い衆(約50人)が1日に3回は事務所に電話を入れ、自分の居場所を知らせると同時に本部の義理事の有無を確認することが義務づけられていたからだ。当番はその電話の入った時刻を日報に記載するから、その日の全組員の居場所、動向が一目瞭然となるわけである。

なおかつ事務所の責任者になっている幹部は3時間おきくらいに事務所に来て、その日報をチェックするというのだ(いまはこんなまどろっこしいことをしなくても、パソコンやケータイのメールによるやりかたがあるだろう)。

なぜ、そこまで徹底した管理システムを取るのか、K会を束ねていたA会長がこう語ってくれたものだ。

「やはりそこまでやらないと、いろんな問題で遅れを取ったりしますからね。それとはべつに、このシステムによる思わぬ効用もあるんですよ。

たとえば、対警察問題で、うちの若い衆がやったことじゃないのに、うちの若い衆だという事件が起こるときがあるんです。そうすると、このシステムによって、うちの若い衆がそのときどこにいたかというのは、すぐにわかるわけですよ。それで人違いと判明するんです。

そのように密な連絡を取りあえば、組織のためになるんじゃないかと考えてやってきたことですけれど、お陰で私の意志はみんなに通じているという自負はあります」