「自分で決める」自立を支援 不登校の児童支えるフリースクール運営の長村知愛さん(21) まちかど人間録

AI要約

不登校経験者が運営するフリースクールASOVIVA!では、子供たちが自分で学校に行くかどうかを決められる環境を提供している。

代表理事の長村知愛さん自身が不登校経験を持ち、自分の経験を活かして子供たちと向き合っている。

ASOVIVA!では、子供たちが遊びの中でのびのびと成長できるような環境を提供しており、学校に行くことだけが目標ではないことを大切にしている。

「自分で決める」自立を支援 不登校の児童支えるフリースクール運営の長村知愛さん(21) まちかど人間録

「学校に行く行かないは自分で決めていいんだよ」

河南町寛弘寺にあるフリースクール「ASOVIVA!(アソビバ)」には、さまざまな理由から学校に行くのを止めた子供たちが通う。代表理事の長村知愛(おさむらちあ)さん(21)=同町=にも小学校から不登校になった経験がある。

「無理に周りに合わせるばかりじゃなく、自分で決めることの大切さを伝えたい」と誓う。

「アソビバ」は「遊びの中で居場所を見つける」という思いで名付けた。自然豊かな環境で「子供たちがのびのび過ごせれば」と、田んぼに囲まれた築100年超えの古民家を改装。そばには千早川が流れ、庭には畑と鶏小屋があり、子供たちが世話に汗を流す。

スクールには7~18歳の27人が在籍。音楽室でギターの演奏を楽しんだり、自作のバスケットゴールを囲んで走り回ったりする姿があった。「カードゲームしよう!」と子供から手を引かれる長村さんの表情も優しさにあふれていた。

本人が不登校になったのは小学5年の冬。幼少期から人の中で過ごすのが苦手だったという。後にわかったのは「ハイリーセンシティブチャイルド(HSC)」。生まれつき感受性が豊かで、周囲の刺激に敏感になりやすい性格だった。

「友達が先生から怒られていると、自分が怒られている気分になった」。周囲に素の自分を出せないまま、孤立した。不登校は中学生になっても続いた。「このままでまともな大人になれるのか」。大きな不安がいつも付きまとい、ストレスで体重が一気に20キロ増えたり、絶食になったりを繰り返していた。

そんな時、支えになったのが母、かおりさん(46)。HSCの子供のメンタルトレーニングに役立つ「コーチング」を身に着け、娘との対話を重ねた。

その甲斐あって、長村さんは自分の意見を積極的に相手に伝えることができるようになり、ともに、不登校の子供を持つ親と子が一緒に参加できるサークル活動を始め、後にアソビバの創設に至った。

「『学校に行く』という王道のルールから外れてしまうのは怖いと思う。でも全ての選択権は自分にあるということを自信に思ってほしい」。アソビバでは、「子供を学校に戻すこと」を目標にしているのではなく、社会的な自立に向かえるように支援をしている。