「あなた誰?」身に覚えのない目撃情報。自分にそっくりな人物が近づいてくる恐怖。もしもドッペルゲンガーが現れたら…【書評】

AI要約

SNSで話題のホラー漫画『友達のドッペルゲンガー』(ちょん。)は、友人の恐怖体験を描いている。

ゆうが目撃した自殺事件現場で不気味な霊に取り憑かれる展開が始まる。

身体を乗っ取られたゆうの不気味な行動が周囲の人々に不安を抱かせる。

「あなた誰?」身に覚えのない目撃情報。自分にそっくりな人物が近づいてくる恐怖。もしもドッペルゲンガーが現れたら…【書評】

 SNSで話題の衝撃作『友達のドッペルゲンガー』(ちょん。)は、友人の身に突如降りかかった恐怖体験をもとに描かれたホラー漫画だ。ちょんさんが高校生のころのある夏、友人が恐ろしいことに巻き込まれたエピソードが描かれている。

 ちょんさんと「ゆう」と「あお」は仲良し3人組。ゆうだけ別の高校だったが、学校終わりにはよく一緒に遊んでいた。夏休みに彼氏と海に行き、1日楽しんできたゆう。だが、帰るときにある事件現場を目撃したことがきっかけで、恐怖体験に巻き込まれていく――。

 その日ゆうが訪れた海辺で起きていたのは、一家心中の自殺事件だった。ゆうと同い年の17歳の女子高生が、父親の心中に巻き込まれて殺されてしまったのだ。その事件現場で軽い気持ちで「死にたい」と口にしたことで、ゆうは死んだ女子高生の霊にとり憑かれてしまう。言霊という言葉もあるほどなので、軽い気持ちでも決して「死にたい」と言ってはいけないのだろう。

 幸い、あおとその母には霊感があり、簡単なお清めに成功する。そしてとり憑いていた霊は見えなくなるのだが、それから多くの人がゆうの「ドッペルゲンガー」を目撃する不可解な現象が起こりはじめていた…。

 ドッペルゲンガーは、本人に会うとその身体を乗っ取ってしまうといわれている。実際、ゆうはその身体を乗っ取られ、別人のようになってしまった。勉強に集中するからといって一方的に彼氏と別れたり、友人のちょん。さんやあおを遠ざけたり、周囲の人にとって形容しがたい不気味さが増していく。

 ちょんさんの絵柄がかわいらしいことも相まって、物語を読めば読むほど、じわじわとした恐怖が迫ってくる。特に、乗っ取られた後のゆうの笑顔の“違和感”はすさまじい。現実の延長線上にある不気味さを感じられるのは、本作ならではの体験ではないだろうか。

 果たして、ゆうは自分の身体を取り戻すことができるのだろうか――。ちょんさんと友人たちが体験した恐ろしい物語を、ぜひ最後まで見届けてもらいたい。

文=ネゴト / 押入れの人