大神いずみ「野球少年の息子たちに、父・元木大介は〈道具の大切さ〉を教え込む。シューズの砂を出してなくてスタメンを外される世界」
酷暑は過ぎ去ったがまだ残暑が続く気象を受けて日々の思いを綴る大神いずみさん。
野球の練習をしていないはずなのにドロドロに汚れる息子や自身の姿に悩む母親の姿が描かれる。
汚れたままのまま人前に出ることに恥じる一方で、家の中でもスッキリさっぱりしたいと思う大神いずみさん。
大神いずみさんは、元読売巨人軍の元木大介さんの妻であり、2人の球児の母でもある。2人の球児の母として伴走する大神さんが日々の思いを綴る。
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◆酷暑は過ぎ去ったのだと思いたい
予想最高気温、30℃。
この数字を見るだけで、もうなんだか涼しいと感じませんか?
いやこれ十分まだ暑いです。
でも気持ちだけでももう、あの痛みにも似た酷暑は過ぎ去ったのだと思いたいぃ…。
ついこの前まで日中35℃だの体温越えだの大騒ぎしていた私だが、歩くほどゆっくり通り過ぎていった台風のあと、明らかに朝夕の涼しさが違ってきた。
土日の水筒の減り方で、季節の移ろいが感じられる今日この頃。
おお、上手いこと言ったな私。
まだまだ残暑は続きますが、ギラギラゆらゆらして見えていた夏は、もうおしまいですね。
…なぁんて悠長な季節のご挨拶はよいとして。
今この練習あとのドロドロザラザラケパケパほこりまみれの息子たち、おまけに思春期特有の鼻を刺す汗の匂いよ…。
◆野球もしてないのにドロドロ
車に乗せて帰る途中、いつもどうにかどこかでサラサラっとこのデッカい息子を「ゆすいで」帰れないものかと水場を探してしまうのは、わたしだけでしょうか。
いや。実は息子だけではない。
実はこの五十路の母でさえ、一日じゅう埃っぽいグラウンドで過ごしたあとの高レベルな土埃まみれ、酷い汚れっぷりったらないのだ。野球もしてないのにドロドロ、なんでやねん!?
先日学校のグラウンドを借りて試合をした際、まあまあな強風にあおられるグラウンドの土の波に容赦なく巻き込まれ、一日中ホコリまみれで試合を見守った。
トイレをお借りして手を洗った後、顔を上げて鏡に映る「見たことない埃だらけの目だけギョロギョロ真っ黒いオバサン」に「わ!!」と声に出して驚いてしまった。
首や目尻の深いシワが線になって浮いている残念な有様。同じ野球母たちと熱い甲子園の話、お弁当や今夜の献立アイデア、屈託のないバカっ話をしてゲラゲラ笑っていたのだが…
己の風貌が一番面白いことになっていたとは。
何があってもこんな様子の写真は出しません。
出しませんよっ!
ドロドロ息子のそばで、母だってこの薄汚れた全身をすすいで一刻も早くさっぱりしたいのは山々なのだ。
当然そんな汚ったない見てくれでは、帰りにコンビニに寄って飲み物を買うのも恥ずかしい。
ある程度ウェットシートで顔や首周りを拭いてサッパリはするものの、拭いたあとが家のなか掃除したってこんなに汚れてないというほど真っ…黒。
引く。
化粧は跡形もなく、眉毛も消えてしまって誰だかわからない風貌のわたしに、心配しなくても誰も気づくわけがない。