「私だってだいちゅきなんだから」自分から撫でられる体勢になった猫に心臓が持たない!【書評】

AI要約

猫愛に満ちた類さんの日常を描いた猫コミックエッセイ『しまねこ3姉妹と暮らしています』が癒やしをもたらす。

作者の猫ファーストの生活や猫たちとの愛情深いエピソードが楽しめ、猫愛を感じることができる。

可愛らしい3姉妹の猫たちの姿や日常が描かれ、読者をほっこりさせてくれる。

「私だってだいちゅきなんだから」自分から撫でられる体勢になった猫に心臓が持たない!【書評】

 猫はかわいい。きっとほとんどの人が猫をかわいいと感じているだろう。のびのび暮らす猫は特にかわいらしく、その姿を見るだけで思わず笑顔になるはずだ。猫が好きな人におすすめなのが『茶トラのやっちゃん』シリーズの作者・類さんが描く、猫コミックエッセイ新シリーズの『しまねこ3姉妹と暮らしています』(KADOKAWA)だ。最初から最後まで猫愛たっぷりのエピソードを読めば、きっと癒やされて元気をもらえるだろう。

 作者の類さんは、3匹の猫の飼い主。茶トラのやっちゃん・ちーちゃんとベンガルのももちゃんの3姉妹と一緒に暮らしている。本作で描かれる作者の日常は、いつだって猫ファーストだった。「猫は何をしてもかわいい」と断言する作者の毎日は、エサを催促する猫たちの無言のアラームではじまるという。

 猫愛が突き抜けている作者は、猫を優先するあまりちょっと不憫な目に遭うこともある。ロフトベッドで寝る猫たちのかわいさに感動する作者。しかし、猫たちはベッドの中心部を占領していた。普通なら猫を起こしてどいてもらうところだろうが、作者は猫ファーストを貫き、ベッドの端で寝ることに。自由に寝る3姉妹の一方で、端っこで固まって寝る作者の不憫な姿に思わず笑ってしまう。

 作者の猫愛を感じるだけでなく、猫の生態についての知識が身に付くことも本作の魅力のひとつだ。複数の猫がいる場所で、猫が他の猫を舐める姿を見かけたことがある人もいるだろう。その行動は「アログルーミング」と呼ばれる、猫同士の信頼関係を表すものだという。ペットショップ出身で他の猫を舐めたことがなかったであろうももちゃんが、やっちゃんを舐める姿を見ると思わずほっこりしてしまう。かわいらしい絵柄も相まって、3姉妹への愛おしさが湧き上がってくるはずだ。

 作者の愛情が決して一方通行ではないとわかることも、本作を読んでいて楽しくなるポイントだ。名前を呼ばれるとお尻をトントンしてもらえると思って立ち上がろうとするももちゃんに、眠っていても返事をするちーちゃん。やっちゃんは作者が撫でてくれるとわかっているのか、手をかざすだけで耳を倒して目を閉じる。当然のように自分から撫でられる体制になるほど、毎日撫でてもらっているのだろう。作者からの愛情を信じている猫たちの姿はあまりにかわいらしく、思わず笑顔にさせられる。

 そんな猫たちからの愛で胸がいっぱいになり、キュンキュンする作者の心は忙しい。愛情たっぷり接していることが伝わっているだけでなく、信頼という形で返ってくるのは飼い主冥利に尽きるだろう。愛し愛される関係が当たり前になるほど愛情深く猫と接していることが想像できて、温かい気持ちになれる。

 本作では、作者と猫たちの日常エピソードだけでなく、3姉妹の写真コラムも楽しめる。仔猫時代の写真をはじめとしたかわいらしい実写写真まで見れるのだから、まさにプライスレスな作品だ。かわいらしい3匹のしまねこたちとの日常と作者の猫愛にほっこりしながら、心ゆくまで癒やされてもらいたい。

文=ネゴト/ 押入れの人