「指かざし決済」が埼玉県のスーパーで導入 高齢者のリピーターも

AI要約

財布を忘れた、スマホは持っていない。そんな人でも買い物できる日は近い?

埼玉県内のスーパー3店舗で、指静脈認証システムが導入され、利用者が増加中。

将来的には静脈認証システムがさらに普及して、便利な決済手段として定着する可能性がある。

「指かざし決済」が埼玉県のスーパーで導入 高齢者のリピーターも

 財布を忘れた、スマホは持っていない。そんな人でも買い物できる日は近い? 

 埼玉県内のスーパー3店舗で、専用装置に指をかざすだけで買い物可能なシステムの運用が4月から始まった。新しモノ好きな若年層ばかりか高齢者のリピーターも多いという。

 新たなシステムが導入されたのは東武ストアの越谷店(越谷市)、みずほ台店(富士見市)、新河岸店(川越市)。当初、買い物のポイントを大幅アップするインセンティブが用意され、すでに登録者3000人超。東武の担当者は「ポイントアップの期間終了後も多くの方が利用されている」と鼻息荒く、利用者からは「手ぶらで買い物ができる」「いちいちポイントカードを提示せずに済むから楽だ」といった声が。酒類を買う際の年齢確認なども登録情報から照会できる。

 この「指静脈認証システム」は日立製作所が20年以上前から開発を手がけ、企業の勤怠管理における本人確認など法人向けに販売・利用されてきた。日立の担当者によると「一般ユーザーのスマホでの顔認証や指紋認証も普及。いよいよ消費者向けの活用を2021年から検討し始めた」という。

 事前に専用サイトで氏名、生年月日、クレジットカード番号などの個人情報を、該当店舗では指静脈を登録。両者をひもづけて決済する。

 今後の課題は「これをいかに広げるか」だ。小売店のみならずあらゆるシーンでの導入が可能だが、現状では東武ストア3店舗のみ。東武は「新規開店や既存店のリニューアルのタイミングでは導入したい」といい、将来的には鉄道の改札口などでの利用も想定する。が、改札では静脈認証にかかる時間短縮が必須条件。他社路線との乗り入れも考慮すると、東武単独でやれることには限界がある。

 日立の担当者は「一般向けの運用開始で注目が集まれば、さらに広まる可能性は十分ある」と話す。静脈認証のシステムはほかにも富士通やNECなどが手がける。東武の担当者は「07年に導入されたPASMOを含む交通系ICカードは使用率が9割を超えている」と期待を膨らませ、日本では16年ごろから始まったQRコードやバーコードでの決済も今や日常の光景だ。

 遠くない将来に指で「ピッ!」は普通のことになりそうだ。無用な買い物に注意する必要があるかも。

「週刊新潮」2024年5月30日号 掲載