「PLATEAU」って知ってる? 日本の都市を“完コピ”した無償3Dデータとゲームエンジンでできること

AI要約

ゲームエンジンはゲーム制作だけでなく産業用途でも注目され、利用が広がっている。

「PLATEAU」というプロジェクトが国土交通省によって2020年から進められており、ゲームエンジンと連動するプロジェクトとして注目されている。

ゲームエンジンの活用方法やリアルタイムCG技術の重要性、映像業界やXR向けの活用例など、産業用途でのゲームエンジンの役割が増している。

「PLATEAU」って知ってる? 日本の都市を“完コピ”した無償3Dデータとゲームエンジンでできること

 UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンは、いまやゲームだけに使われるものではない。むしろこれからは、産業用途でいかに活用するか、という点が重要になってきている。

 そんな中、2020年から国土交通省が手掛けている「PLATEAU」は、ゲームエンジンと連動で使われることの多いプロジェクトとして注目されている。

 なぜゲームエンジンは産業用途で注目され、利用が広がっているのか? そこでPLATEAUはどのような役割を果たしているのかを解説してみたい。

 ゲームエンジンとはどのような存在か?

 ざっくり言ってしまえば、「ゲームを作るために必要となる要素を揃えて、ゼロからソフトを書かずにゲームを構築するためのフレームワーク」である。

 ゲームを作るには多数の要素が必要だ。一方で、グラフィックやサウンドの処理やコントローラからの入力の扱いなど、多くのゲームに共通する要素も少なくない。だからそうした部分をまとめ、グラフィックや音楽のデータ、ゲーム本編を構成するロジックなどに作業を集中させ、開発を効率化するために導入するのが「ゲームエンジン」、ということになる。

 もちろん開発者の方から見れば「いやいや、そうそう簡単な話ではないんですよ」というのは百も承知。だが、ゼロから作るよりは確実に効率的であり多くのメリットが存在するため、多数のゲームがゲームエンジンで作られるようになっているのは間違いない。

 そして、同時に進んでいるのが「リアルタイム・グラフィックツール」としてゲームエンジンを使うという方法論だ。

 リアルタイムCGを必要とする用途はゲーム以外にも多数ある。典型的かつ注目度も高いのが「映像作品での利用」だ。

 例えば実制作に入る前に、どのようなアングルでどう撮影すればいいのかを確かめる、通称「プリビズ」を作る際、アングルを動かしながら試行錯誤するにはゲームエンジンを活用するのが向いている。また本編の撮影時にも、背景を巨大なLEDディスプレイを背景にしつつ、カメラの動きと連動することでCGの中にいるようなイメージで撮影できる「バーチャルプロダクション」もしくは「インカメラVFX」と呼ばれる手法でも、カメラの動きと映像をリアルタイムに同期させる必要があり、ゲームエンジンの活用は必須だ。

 例えばソニーは、ゲームエンジンを使った映像制作やそのソリューションの提供を新規事業としての重点分野に掲げている。それだけ活用が進み、市場としての可能性も大きくなってきている、ということだ。

 映像業界での利用はわかりやすい例だが、もちろん他にも広がっている。特に「ゲームエンジンがほぼ必須」とされているのが、いわゆるXRやデジタルツインを活用する現場だ。

 こうした用途はリアルタイムCG技術が必須であるのに加え、「こう作ればいい」という定番が定まったジャンルでもない。すなわち、ソフト開発の中での試行錯誤が多くなる傾向にある。そうすると、グラフィックスの表示などの基本的な部分へ手戻りしては効率が悪くなる。この辺はゲーム開発と事情が似てくるのだが、だからこそゲームエンジンを使うのが一般的な発想になってくるわけだ。

 事実、Metaにしろアップルにしろ、XR関連アプリ開発を助けるためにゲームエンジン・プラットフォーマーとの協業を行なっており、ほぼ必須の要素になっている、と考えていいだろう。現状、映像制作向けには「Unreal Engine」が、XR向けのゲームやモバイル向けのアプリでは「Unity」が選ばれる傾向にある。