【漫画家に聞く】刑事たちが会話をしているだけなのに、なぜこんなに面白い? プロクオリティの日常系漫画がXで公開

AI要約

SNSで漫画を公開することが一般的になり、プロ作家の習作や、商業誌で発表していないハイクオリティな作品に触れられる機会も増えた。4月下旬にXに投稿された『刑事たちが仕事の合間にただ会話をしているだけの漫画です』は、タイトルの通り個性的な刑事たちによる会話劇で、まさにプロクオリティの日常系作品だ。

本作を手掛けたのは、ガンガンONLINEで『つくもの万処』(スクウェア・エニックス)を連載しているプロの漫画家・紫良河みあびさん(@akaiiii_001)。仕事の合間に描いたという本作の誕生秘話を聞いた。(望月悠木)

刑事ものですが事件や犯人は基本的に出てきません。刑事たちの何気ない日常会話を描くことは難しかったのでは?

【漫画家に聞く】刑事たちが会話をしているだけなのに、なぜこんなに面白い? プロクオリティの日常系漫画がXで公開

 SNSで漫画を公開することが一般的になり、プロ作家の習作や、商業誌で発表していないハイクオリティな作品に触れられる機会も増えた。4月下旬にXに投稿された『刑事たちが仕事の合間にただ会話をしているだけの漫画です』は、タイトルの通り個性的な刑事たちによる会話劇で、まさにプロクオリティの日常系作品だ。刑事6人が犯行現場に出向くわけでもなく、取調室で自供を迫るわけでもなく、職場内での何気ない会話が続くが、クセになる面白さがあり、いつの間にか刑事たちに愛着を持ってしまう。

 本作を手掛けたのは、ガンガンONLINEで『つくもの万処』(スクウェア・エニックス)を連載しているプロの漫画家・紫良河みあびさん(@akaiiii_001)。仕事の合間に描いたという本作の誕生秘話を聞いた。(望月悠木)

■刑事ドラマの影響

――今回『刑事たちが仕事の合間にただ会話をしているだけの漫画です』を制作した背景は?

紫良河:刑事ドラマなどでよく見かける、○○班とかバディとかがとても好きでした。普段は高校生や若い子ばかり描いていており、「ちょっと描いてみたいな」みたいな願望があって本作の制作を決めました。

――個性豊かなキャラが多く登場しますが、各キャラはどのように作り上げましたか?

紫良河:バディにするメンバーを互いに逆の性格にして、そこからそれぞれのキャラの年表を考えていきながら出来上がりました。ビジュアルは性格に合うような感じを意識しています。ちなみに、私が気に入っているキャラは大山課長です。

――会話劇でストーリーが展開するため、登場人物の関係性を必要以上に意識してセリフを決めなければいけない印象です。

紫良河:先述した通り、先に登場人物の生まれた時の年表を書いており、それを指針としてセリフを決めていきました。「年表と辻褄が合うようにした」という点はとても意識したと思います。また、ストーリー自体は頭に流れた登場人物の会話をただただ描いていった感じです。

――刑事ものですが事件や犯人は基本的に出てきません。刑事たちの何気ない日常会話を描くことは難しかったのでは?

紫良河:本作は仕事の合間に描いた息抜きの趣味漫画ですので、実は刑事という仕事はドラマやネットで出ている程度の情報しか調べていません。“朝から会議をしている”など、むしろ 刑事ならではの1日の流れを描くほうに難しさを感じました。

――「恋人にするなら誰が良いか」「なぜ警察になったのか」といった会話が展開されていましたが、トークテーマを決めるうえでこだわった点は?

紫良河:刑事であろうとも人間です。四六時中、事件の話題ばかりではないと思います。「刑事も普通の会話するかな」と思い、その辺りを意識して会話をしてもらいました。

――また、登場人物が多いからこそ、吹き出しに色がついているおかげで「誰のセリフなのか」ということがわかりました。

紫良河:4コマ会話劇なので、どう考えても読みにくくなることはわかりきっていたため、色を付けました。

――最後に紫良河さんの今後はどのように漫画制作に取り組んでいく予定ですか?

紫良河:身体面や精神面の健康が保たれる限りは、この仕事に携わっていきたいと思っています。また、現在ガンガンONLINEさんで連載している作品があるため、見ていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。