窪塚愛流「あまりにも役に入りすぎたせいか、撮影中はずっと辛かった」

AI要約

窪塚愛流が『ハピネス』の主演で演じた雪夫という難しい役について語る。

演じる際の準備や役に対する考え、役との共通点について述べる。

作品のタイトル『ハピネス』と主要キャラクター由茉の魅力について紹介。

窪塚愛流「あまりにも役に入りすぎたせいか、撮影中はずっと辛かった」

嶽本野ばら原作の映画『ハピネス』で主演を務める窪塚愛流。恋人の由茉が“余命1週間”だと知り、幸せな1週間を過ごす約束をする雪夫という難しい役を演じ切った彼に、撮影エピソードを教えてもらいました!

――演じた雪夫という役は、ものすごく難しかったと思うのですが、演じてみていかがでしたか?

窪塚:まず、雪夫の愛情の深さにビックリしました。高校生で、恋人と一緒にいられる時間があと1週間しかないという、絶望的な知らせを聞きながらも、自分の感情よりも、相手の感情を受け入れ、真っ直ぐに行動を起こしていたところに驚きました。間違いなく、日本で一番素敵な男の子だと思います。

――この話をもらった時に、弱音がこぼれそうだったとコメントされていますが、どう乗り越えていきましたか?

窪塚:最初はどうしていいかわからなかったのですが、このままの気持ちで演じるのはもったいないと思い、すぐに気持ちを切り替えていきました。ネガティブな考えを持っている時間があるなら、もっと作品に集中したほうが、後悔しないだろうと思ったんです。

――雪夫を演じるために、どんな準備をしましたか?

窪塚:演じている時は、ただひたすら雪夫のことを考えていました。たとえプライベートな時間も、お風呂に入るときも、ご飯を食べている時も、常に雪夫のことを考え、どうやって雪夫はこの状況を受け止めるだろうと考えていました。というのも、最初は、ここまですんなりと受け入れられる雪夫に、納得が出来なかったんです。

――たしかに、絶対に簡単なことではないですよね。

窪塚:そうですよね。なので、どうして雪夫は由茉が死んでしまうという事実を受け入れて、行動できたのかをずっと考えていました。あまりにも役に入りすぎたせいか、その時期はずっと辛くて、気持ちよく眠れる日は、あまりありませんでした。寝付けずにそのまま朝になってしまうことも多くて…。

――そこまで深く考えるなかで、自分と雪夫が似ているところはありましたか?

窪塚:何事に対しても、わりと受け入れて肯定するところは似ているのかなと思いました。雪夫と同じように、ロリータファッションもかわいいって思えますし、自分と違う考えの人も、“そういう考え方もあるよね”って受け入れることができるんです。とはいえ、それは自分の気持ちの話であって、雪夫のように彼女のために行動にまでは移せないので、本当に雪夫の行動力、愛情の深さを尊敬しています。

――何事も受け入れられるようになったのは小さい頃からですか?

窪塚:僕はわりと特殊な家族構成でもありますし、小学校も関東から関西に引っ越したりと、環境の変化が多かったんです。それもあって、いろんな人と時間を過ごすことが多かったので、適応力がついたように思います。

――その適応力は、今のお仕事によい影響を与えていそうですね。

窪塚:そうかもしれないです。もともと、自分以外の誰かになりたいという想いは強かったです。それもあって、ごっこ遊びが大好きでした。ただ、戦隊モノのごっこ遊びをするとなると、選んでいたのはヒーロー側ではなく、悪役を選んでいました。

――それはどうしてでしょう?

窪塚:う~ん…。自分が楽しむというよりも、みんながそれで楽しんでいる姿を見るのが好きでした。それは、今の仕事にも関係していて、俳優も見てくれている人が楽しむものを作るという気持ちが大きいんですよね。とはいえ、僕もそこまで善人ではないので、自分がやりたいこともありますし、自分の世界を広げるために、俳優をやっています。

――もし、いま特撮のお仕事が来たら、ヒーローと悪者、どちらがやりたいですか?

窪塚:やっぱり悪者かな(笑)。でも、ヒーローもどちらも演じてみたいですね。

――さて、作品の話に戻りますが、恋人の由茉がここまで愛される魅力はどこにあると思いましたか?

窪塚:気持ちを包み隠さず伝えてくれるところだと思います。幸せだよと思ったら「幸せ」だと言ってくれるし、好きだと思ったら「好き」って言ってくれます。人間って、ここまで素直に気持ちを伝えることは少ないと思います。でも、由茉はその気持ちを両親にも伝えていたからこそ、あんなにも素敵な家族になっているのだと思います。あの人間性があるからこそ、タイトルの『ハピネス』に繋がるのだろうなって感じました。

――たしかに、作品の内容から、『ハピネス』というタイトルはなかなか思いつかないですよね。

窪塚:矛盾していますよね。でも、最終的にこのタイトルは、由茉の目線の言葉なんだろうなと思ったらしっくり来たんです。そう考えると、すごく素敵なタイトルだなと思えるようになりました。