うわ、いきなり? 後継作品にも影響を与えた富野由悠季の「死屍累々」アニメ

AI要約

富野由悠季さんは「ガンダムの生みの親」として知られるアニメーション映画の監督、原作者であり、多くのロボットアニメを手がけてきた。彼の作品には数々の「全滅エンド」があり、その衝撃的な結末は未だに語り継がれている。

代表的な作品としてTVアニメ『伝説巨神イデオン』が挙げられる。最終回では突如としてイデという無限力が発動し、地球人や異星人が一瞬で滅亡するという全滅展開が描かれた。

また、TVアニメ『聖戦士ダンバイン』も全滅エンドで有名であり、最終回では主要キャラたちのほとんどが死亡し、物語は衝撃的な結末を迎えた。

うわ、いきなり? 後継作品にも影響を与えた富野由悠季の「死屍累々」アニメ

「ガンダムの生みの親」として知られている富野由悠季さんといえば、数々のロボットアニメを世に輩出してきたアニメーション映画の監督、原作者です。富野さんが手がけた作品を振り返ると、いわゆる「全滅エンド」が描かれたアニメが多く、その衝撃的な展開は、いまだに語り草となっています。

「皆殺しの富野」とまで言われる富野さんの作品で代表的な例を挙げると、やはり、総監督を担当したTVアニメ『伝説巨神イデオン』は外せないでしょう。1980年から1981年まで放送された同作は、異星人「バッフ・クラン」と人類の偶発的な戦闘が巻き起こり、主人公で地球人である「ユウキ・コスモ」が、伝説の巨神と言われる人型メカ「イデオン」のパイロットとなって戦う姿が描かれています。

 同作の最終回39話「コスモスに君と」では、戦闘が激化していくなかラスト数分のところで、伝説の無限力であり未知なる力を秘めた集合精神「イデ」が発動しました。途端に宇宙は光に包まれ、地球人、バッフ・クランの人びとが一瞬にして滅亡して幕を閉じるのです。

 この全滅ラストはいまだに話題になることも多く、ネット上で「全員死亡展開といえばイデオンでしょ」「その後に登場するエヴァにも通ずる名作」などの声があがっています。

 ちなみに唐突な全滅エンドは、視聴率低迷による打ち切りが原因で、苦肉の策として描かれたものでした。書籍『イデオンという伝説』(太田出版)によれば、打ち切りを知った富野さんは、39話の脚本の最後の1分だけを書き換えて完結させたそうです。

 その後、1982年にTV版の総集編『THE IDEON 接触篇』と、TV版最終回以降がメインとなる新作映画『発動篇』が同時上映されます。『発動篇』では、少女「キッチ・キッチン」が爆発に巻き込まれ死亡、幼女「ノバク・アーシュラ」が頭を吹き飛ばされるといった、衝撃の場面が描かれました。そしてラストでは「イデ」が発動し、すべての人間が「因果地平」へと飛ばされる結末となります。

 ほかには1983年から1984年まで放送された、富野さんが総監督を務めたTVアニメ『聖戦士ダンバイン』も、ラストにほとんどの登場キャラが死亡したロボットアニメでした。同作では、異世界「バイストン・ウェル」と地上世界を舞台に、主人公「ショウ・ザマ」が「ダンバイン」というロボットを駆使し、聖戦士として覇王「ドレイク・ルフト」の軍勢と戦う物語が描かれます。

 最終回の49話「チャム・ファウ」では、地上世界での戦乱が激しくなり、次々と主要キャラたちが戦死して行きました。そしてついに敵陣の本丸であるドレイクが、聖戦士のひとり「ニー・ギブン」によって倒されます。これで戦いが終わるかと思いきや、ショウのライバルである「バーン・バニングス」は、ショウとの戦闘を続けるのです。

 お互いにコックピットがむき出しになった状態で、ショウは「俺は人を殺さない」「その怨念を殺す」と言いながらバーンに向かって飛びかかり、剣を突き刺しました。しかし、バーンもショウに剣を刺しており、ふたりは相打ちになります。

 そして、ショウが最後に「シーラ・ラパーナ(大国「ナの国」の女王)……浄化を!」と叫んだ瞬間、マシーンやバイストン・ウェルの住人は大きくなったシーラのオーラによってすべて浄化され消滅します。唯一生き残ったのは、ショウのパートナーである妖精「チャム・ファウ」のみでした。

 ラストの怒涛の展開には、視聴者の間で賛否が分かれているようですが、「異世界転生ものの走りともいえる作品で、世界観も壮大でアニメとは思えない見応え」「異世界とロボットを組み合わせるのが斬新で面白い」など、高く評価する声も多い作品です。