「虎に翼」朋一役・井上祐貴「キツかった」星家対立の間で葛藤 伊藤沙莉&岡田将生の“一言”から学ぶこと【インタビュー】

AI要約

井上祐貴が連続テレビ小説「虎に翼」で朋一役を演じる中、現場の雰囲気や役作りについて語っている。

朋一の複雑な心情や家族間の問題について考察し、役作りに取り組む姿勢を明かしている。

井上祐貴が夢を叶えるための秘訣や、悲しみを乗り越える方法などについても語っている。

「虎に翼」朋一役・井上祐貴「キツかった」星家対立の間で葛藤 伊藤沙莉&岡田将生の“一言”から学ぶこと【インタビュー】

【モデルプレス=2024/08/28】俳優の井上祐貴(いのうえ・ゆうき/28)が、2024年度前期連続テレビ小説「虎に翼」(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)で、星航一(岡田将生)の息子・朋一役を好演中。第22週では星家の家族間の問題が描かれたが、複雑な心情が入り交じるシーンで彼が朋一として考えていたこととは――。【モデルプレスインタビュー】

◆伊藤沙莉主演「虎に翼」

第110作目の連続テレビ小説となる本作は、日本初の女性弁護士である三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんをモデルに描くリーガルエンターテインメント。主人公の佐田寅子(さだ・ともこ/通称・トラコ)を、主演の伊藤沙莉がつとめる。

寅子は戦争で夫・優三(仲野太賀)を失うが、それから時が経ち、配属された新潟で互いに惹かれ合った航一と“永遠を誓わない愛”を育むことに。新潟での3年間を経て東京に戻り、航一の継母・百合(余貴美子)、息子・朋一、娘・のどか(尾碕真花)と対面する。

◆井上祐貴、オーディションから数ヶ月後に朋一役が決定

― 今回の朋一役はどのように決まったのでしょうか?

井上:「虎に翼」全体の撮影が始まる前にオーディションを受けたのですが、そこから数ヶ月空いて、星朋一役として出演のお話をいただきました。

― 最初から朋一役として受けていたオーディションではなかったんですね。

井上:はい、先々の物語に出てくる役で合う役があれば、という感じのオーディションでした。

― 数ヶ月経って出演決定のお話を聞いたときはいかがでしたか?

井上:めちゃくちゃ嬉しかったですね。朝ドラと大河ドラマへの出演は自分の目標の一つにしていたので、大河ドラマは昨年「どうする家康」で出演が叶って、今回の朝ドラ出演で両方達成できるという喜びがありました。しかも僕、「虎に翼」をずっと観ていたんですよ。イチ視聴者として「すごく面白いな」と毎日楽しみに観ていたので、その作品に出られるのも嬉しかったです。

◆井上祐貴、クランクイン後に消えた不安

― ご自身も好きだった作品に、後半から重要な役柄で入ることへの不安やプレッシャーはありましたか?

井上:僕は第20週から出演させていただいたのですが、20週までに積み重ねてきたチームの雰囲気に馴染めるかなという不安はありました。なので現場に入るまで緊張していたのですが、入ったらそんな不安はすぐになくなりました。

― これからご自身が登場されるお気持ちはいかがですか?(※取材は8月上旬に実施)

井上:緊張とワクワク、どっちもあります(笑)。それにまだちょっと実感がないというか、不思議な感覚です。僕の出演情報も解禁されていないですし、モニターでは毎シーンチェックしているのですが、繋がったものをまだ観ていないのでどういう感じになるんだろうと楽しみです。

― ここまでの放送で特に印象的だったシーンや好きなキャラクターは?

井上:どのキャラクターも魅力的に描かれているので難しいですが、花岡さん(岩田剛典)ですかね。最初はすごく嫌なヤツだったじゃないですか(笑)。そこからどんどん人間味が出てきて、優しさが溢れ出ちゃっている感じが好きでした。花岡さんの最後のチョコレートの話も僕にはすごく刺さりました。

― 視聴者としては涙が抑えきれない場面でしたね。

井上:本当にそうですよね。とても悲しいけど良いシーンでした。

◆「結構キツかった」朋一としての葛藤と立ち位置

― 朋一も最初はちょっと何を考えているかわからない、目に光がないような役柄ですが、徐々に寅子や航一に心を開いていきます。井上さんは朋一をどのような人間だと考えていますか?

井上:最初はちょっと冷たい子に見えるのですが、それはそういう環境で育ってきたから。でも本当はもっとピュアな男の子なんじゃないかなと思っています。監督と話したときも「朋一は一見そういう冷たい男の子。星家も家族ではあるけど常に人と人の間に薄い壁があるみたいな家なんだ。」とおっしゃっていたのが、僕も理解できました。

冷たい人間になりたくてなったわけじゃなくて、本当は家族として、息子とお父さんとしてもっと関わりたいのにできない。しかもすでにちょっと諦めてしまっている。そんなときに航一さんが寅子さんを連れてきて、寅子さんが掻き乱していくのですが、朋一は寅子さんに出会えて本当に良かったなと僕は思っています。

― 複雑な役柄を演じる上で、役作りで具体的に行ったことはありますか?

井上:複雑な役だからこういう役作りをした、みたいなことは今回はありませんでした。でも法律の勉強をしている子なので、昭和のその時代を生きていたら目にするだろう法律関係のニュースや事件を年代で調べたり、朋一が出ていないシーンで起こっている事件について調べたりして、想像を膨らませていました。

― 確かに、原爆に関する裁判と星家の問題が交互に描かれていく展開となっていますよね。

井上:はい。朋一は裁判には絡んではいないけど、でもきっと把握しているだろうなと。なので僕自身も知っておくことでちょっとでも何か変わるのかなと思い、当時起こったことを知ろうと調べました。

― 徐々に心を開いてきた朋一に対して、のどかはまだ閉ざしたまま…という展開ですが、朋一はのどかとそれ以外の家族の間にいる役どころなのがまた難しそうだなと感じました。

井上:本当にその通りです。お芝居として難しいのではなくて、実際に起こったとき、朋一の立場ってすごく難しいんですよ。構図的には妹とそれ以外の人みたいになってしまうけど、それも不本意だし、「妹にも早くこっちに来てほしい」と思っていても、それを“こっち側の人間”として妹に言っても絶対に届かない。妹に寄り添いながら説得する兄、というのが本当に難しいなと感じました。特にのどかがお父さんや寅子さん、百合さんに強く思いをぶちまけるシーンは、朋一として聞いていても結構キツかったです。「どう声かけようかな」って。実際に僕が同じ立場だったらああいうふうになってしまうだろうなと思いました。

◆寅子(伊藤沙莉)&航一(岡田将生)の一言から学ぶこと

― そのようなシリアスなシーンも多いですが、現場の雰囲気はどのような感じですか?

井上:現場はそういう張り詰めた感じではなく、「今日終わったら何のお酒飲む?」とか「このご飯美味しそうだね」とか話しています(笑)。食卓のシーンが多いので、「これ美味しそう」「このシーンが終わったら食べていいですか~?」みたいな。でも逆にそれぐらい切り替えないとやってられないのかなと(笑)。

― 皆さん切り替えられているんですね(笑)。

井上:はい。ずっと張り詰めた空気のままだとしんどいでしょうし、そのくだけた空気感とのメリハリに僕は助けられています。

― 現場のムードメーカーは誰ですか?

井上:もう完全に寅子さんですね!欲しいなってときに一笑いくださるんです(笑)。決してボケているわけじゃなくて、段取り中とかに絶妙なラインで話題をぶっこんでくるんですよ。それがあえてなのかどうかも僕にはわからないですが…きっと才能なのかなと。すごく素敵な座長です。

― 撮影の合間は皆さんでお話されていることが多いんですか?

井上:先ほど話したような食べ物の話だったり、あと優未(寅子の娘)役の毎田暖乃ちゃんが自分の学校で流行っている遊びとかを皆に教えてくれたりします。「最近こういうのが流行ってて~」とか「この前聞いた怪談話していいですか?」とか。伊藤さんと暖乃ちゃんがいつも話の中心にいます。

― 間近で伊藤さんや岡田さんのお芝居を見て、新たに学んだことはありましたか?

井上:たくさんあります。寅子さんは「はて?」、航一さんは「なるほど」で語ることが多いのですが、お二人ともその2文字、4文字を、色々な表情と言葉の発し方で演じられるんですよね。その「はて?」「なるほど」だけで今がどういう感じなのかわかるし、すごく面白いなと思って見ています。なので現場では、まるで一つの作品を観ているような感覚でいつも勉強させていただいてます。

◆井上祐貴の悲しみを乗り越えた方法

― モデルプレス読者の中には今壁にぶつかっている方もいて、そんな方々へ向けて井上さんの“悲しみを乗り越えた方法”をお伺いしたいです。約1年半前のインタビューでは「没頭する」とお答えいただいたのですが、そこからさらに色々な経験をされて、新たに見つけた方法はありますか?

井上:(前回のインタビューを読みながら)変わってないですね。今も、「本当にそうそう」と思いながら読んでますが、このとき以降まだ考えが変わるような大きな出来事はなかったかもしれないです。

― この1年半も没頭することで乗り越えてきた?

井上:はい、そんな気がします。目の前のことや仕事に没頭してきたのかなと。あと本当の意味での深い悲しみが、この1年半の間にはなかったんだとも思います。「上手くできなかった」や「オーディションでダメだった」みたいな悔しい経験はいっぱいありますが、それは乗り越えられるので。

― そういう出来事があったときの切り替えは早いタイプですか?

井上:もちろん種類にもよりますが、割と早い方だと思います。

― ご自身の感情のコントロールも得意な方?

井上:得意かどうかはわからないですが、考えても変わらないことを考え続けるのがすごく嫌だなと思うようになってきて。出来るだけ考えないように切り替えます。

― それはあえて違うことをするなど、気分転換のような?

井上:はい、そうですね。気分転換はめちゃくちゃします。

― 今は何が気分転換になっているんですか?

井上:最近はゴルフです(笑)。

― 良いですね!お休みの日は休むより動く派なんですね。

井上:そうですね。さすがに疲れきってたら寝たいと思うときもありますが、体が動く限りは何かやりたい、体を動かしたいと思うタイプです。

◆井上祐貴の夢を叶える秘訣

― 大河ドラマや朝ドラは多くの俳優さんが目指される場所。その両方を叶えられた井上さんが、次に目指す場所が気になります。

井上:そうですね、大河ドラマと朝ドラで言うと、次はずっと出続けられるキャラクターで出演したいです。「虎に翼」も「どうする家康」も素敵な役をいただきましたが、両方とも最初からいるキャラクターではなかったので、次はそれが目標です。

― 最後に井上さんの“夢を叶える秘訣”を教えてください。こちらは前回「諦めずに努力する」と回答してくださっていますが、新たに大事だなと思ったことはありますか?

井上:口に出していくことかもしれないですね。大河ドラマへの出演が決まったとき「言霊ってあるんだな」と実感しました。

― 以前から周りの人に公言していたんですね。

井上:周りの人にもそうですし、イベントを開催したときなども「絶対出ます」と言い続けるようにしていました。それをしていたからかはわからないですけど、実際にこうして叶いました。なので言霊はやっぱりあるのかなと思っています。

また、「絶対に叶えるぞ」と内に秘めておくよりも、あえて言うことによって自分を奮い立たせるというのも夢を叶える秘訣の一つなのかなと。諦めずに努力することに加えて今はそう思っています。

― 大きい夢を口に出すことに怖さや恥ずかしさがある人もいると思いますが、井上さんはそういう気持ちはあまりないですか?

井上:いや、ありましたし今もありますが、半々ぐらいですかね。どこかでやれる自信みたいなものもあるというか。そういう自信がちょっとずつ持てるようになってきたからこそ言えるようになったのかもしれないです。

― 貴重なお話をありがとうございました。

◆取材こぼれ話

記者が「虎に翼」ファンでこの日のために放送前の展開を予習してきたことを明かすと、「それはどういう気持ちなんですか!?本当は知りたくなかったみたいな…」とファンの気持ちに寄り添って心配してくれた井上。SNS用の“決め顔チャレンジ”動画の撮影ではノリノリで“虎”ポーズを披露してくれた。(modelpress編集部)

◆井上祐貴(いのうえ・ゆうき)プロフィール

1996年6月6日生まれ、広島県出身。2018年、ミュージカル「ピーターパン」で海賊マリンズ役で俳優デビュー。2019年、特撮ドラマ「ウルトラマンタイガ」でテレビドラマ初主演を果たす。主な出演作に「卒業タイムリミット」主演(NHK総合/2022)「unknown」(テレビ朝日系/2023)「どうする家康」(NHK総合/2023)「マルス-ゼロの革命-」(テレビ朝日系/2024)など。2025年に映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」の公開を控えている。

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