オリンピック出場選手たちの能力は“ほぼ互角”だが、何が「勝敗」を分けるのか? 英国のトップアスリートが明かす

AI要約

ディナ・アッシャー=スミスは、アスリートとしての経験を振り返りながら、競技に集中し、最高のパフォーマンスを引き出すためのメンタリティについて語る。

最終的にはメンタルの強さが競技の結果を左右し、完璧主義にこだわることも時には足かせとなることを学ぶ。

何かを成し遂げるためには努力と学び取りが必要であり、未実現の可能性に向かって前進することが重要である。

オリンピック出場選手たちの能力は“ほぼ互角”だが、何が「勝敗」を分けるのか? 英国のトップアスリートが明かす

英国記録保持者として知られる陸上選手、ディナ・アッシャー=スミス。一流アスリートとしての自分自身を振り返りながら、最高のパフォーマンスを発揮するためのメンタリティについて語ってくれた。

自分が本当にやりたいことについて初めて考えたのは、8歳のとき。2004年のアテネオリンピックで、ケリー・ホームズが2つの金メダルを獲得したのを見ていました。それは、最高峰のスポーツの世界に初めて触れた体験。同時に、「私はオリンピック選手になりたい、これが私の人生をかけてやりたいことだ」と確信したんです。

レースのときには、ただひとつのことに集中するのみ。頭で考えすぎていては、たとえ目をつぶっていてもできる簡単なことだって失敗してしまう。だから、脳内にある限界のラインを取り払って、トラックを見つめる。そして合図が鳴ったら、ただ走り出すだけ。

スプリンターとして感じるのは、図太さや度胸が大事だということ。アドレナリン値を急激に上昇させて、闘争と逃走の反応を呼び起こすんです。ザワザワする感覚も好きです。スタジアムがしんとした静けさに包まれて、自分の心臓の鼓動だけが聞こえる瞬間。この感覚こそが、私にとっての人生の醍醐味だといえます。

本番を制するのは、最終的にはメンタルの強さです。トップアスリートの世界となると、身体能力はどの選手もほぼ互角で、誰もが日々必死にトレーニングを積んでいます。そんな中で結果を出すには、「勝ちたい」という思い以上に、大舞台に立つ準備がどれだけできているかということがものを言う。どんなパフォーマンスができるかは、精神状態に大きく左右されるものなのです。そしてこれはきっと、人生そのものや仕事に対しても当てはまることではないでしょうか。

私は完璧主義。しかも、この性格はもう慢性化していると言えるでしょう。一方で、この完璧主義者という姿勢が、ときには結果を出す場面で足かせになる可能性があるということも、年齢とともに学んできました。最高のパフォーマンスを自分から引き出す方法として、ベストではないということもです。

しかし、競技が思ったようにいかないときこそ、取り組むべきことが浮き彫りになるもの。だから、必ず何かを学び取りたい。この機会を足がかりにして自分を振り返り、次に生かせることは何かを考えるんです。でも、こう考えるのも大事。「このときの私は、コンマ1%ほどのわずかな可能性のためにがんばっている。それはもう、すでによりよい自分へと向かって走り出しているも同じ」だと。

もしあなたに何かやりたいことがあるならば、懸命に取り組んでその目標を達成するべき。簡単なことではないかもしれないし、アップダウンのある道のりかもしれない。でも、まだ成し遂げられていないことと、実現不可能なことはまったく別物なのです。そして、あなた自身が、それを実現する者になれるのです。