《「ヒロアカ」ついに完結》「無個性」の主人公デク≒2つの連載が短命に終わった作者? 「個性」が溢れ返るジャンプで「ヒロアカ」が10年間生き残った方法

AI要約

『僕のヒーローアカデミア』は、週刊少年ジャンプで10年にわたって連載された人気少年漫画。

作品は、異能力バトル漫画のフォーマットにヒーローもののアメリカン・コミックスの世界を落とし込んだもので、主人公のデクが「無個性」ながらも最高のヒーローを目指す姿が描かれている。

登場人物のほとんどが異能力を持ったキャラクターで複雑なバトルが展開される中、「ヒロアカ」は異能力を持たない主人公を起用し、個性の有無を巧みに描いている。

オールマイトの「個性」を受け継いだデクが成長していく過程が見どころとなっている。

作品は肉体の描写にこだわり、主人公の怪我や身体のダメージがリアルに描かれている。

《「ヒロアカ」ついに完結》「無個性」の主人公デク≒2つの連載が短命に終わった作者? 「個性」が溢れ返るジャンプで「ヒロアカ」が10年間生き残った方法

 8月5日発売の「週刊少年ジャンプ」36・37合併特大号(集英社)で、『僕のヒーローアカデミア』(以下『ヒロアカ』)が最終回を迎えた。

 本作は、堀越耕平が2014年から10年にわたって連載した人気少年漫画だ。

 舞台は「個性」と呼ばれる特別な力を宿した人々が大多数を占め、プロヒーローが治安維持のために活動する超人社会。

 主人公のデクこと緑谷出久はこの時代では珍しい個性を持たない「無個性」の少年だったが「平和の象徴」と呼ばれるNo.1ヒーロー・オールマイトの個性「ワン・フォー・オール」(OFA)を譲り受け、最高のヒーローを目指すことになる。

『ヒロアカ』は『バットマン』、『スパイダーマン』、『X-MEN』といったヒーローもののアメリカン・コミックスの世界を、ジャンプが得意とする異能力バトル漫画のフォーマットに落とし込んだ作品だ。

『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)の第3部でスタンドと呼ばれる異能力を操るスタンド使いたちの頭脳バトルが描かれて以降、ジャンプのバトル漫画は異能力バトルが新たな王道となり、登場人物のほとんどが異能力を持ったキャラクターで、能力の組み合わせによって複雑なバトルを描く作品が増えていった。

『ヒロアカ』の「個性」の描き方も、そんなジャンプ漫画の伝統を踏まえたものだが、「個性」を持っているのが当たり前の世界で、主人公のデクを「無個性」な少年として描いたことが本作の最初の成功だったのではないかと思う。

 ヒーローオタクで勉強はできるが、「個性」を持たないデクは、この時代の落ちこぼれだ。だからいつも自信なさげで、幼馴染の同級生・爆豪勝己からイジメられている。そんなデクがオールマイトの「個性」を継承することで、同級生たちと対等に渡り合えるように成長していくのが本作の見どころだ。

 だが、「OFA」は強い個性ゆえに反動も大きく、使用する度にデクは指や手の骨が折れる大怪我をしてしまう。

『ヒロアカ』は手を筆頭とする肉体の描写にこだわりのある漫画で、劇中では怪我や身体欠損が繰り返し描かれる。