『【推しの子】』黒川あかねは第2期の“主人公”だ アビ子の全否定で超シリアスな展開に

AI要約

テレビアニメ『推しの子』第13話では、『東京ブレイド』の原作者・鮫島アビ子と脚本家・GOAのやり取りが注目された。アビ子の厳しい指摘とGOAの苦悩、舞台製作の裏側での意思疎通の難しさが描かれた。

アビ子の妥協を許さない姿勢とそこから生じる齟齬、関係者間のコミュニケーションの問題を通じて、創作のプロフェッショナルとしての矜持やメディアミックス化の課題が浮き彫りになっている。

第2期では、黒川あかねが主人公として活躍し、魅力的な人物像が描かれている。あかねの外見や性格、アクアとの関係性などがファンを魅了している。

『【推しの子】』黒川あかねは第2期の“主人公”だ アビ子の全否定で超シリアスな展開に

 テレビアニメ『【推しの子】』第13話で注目が集まったのは、『東京ブレイド』の原作者・鮫島アビ子と脚本家・GOAのやり取りだ。第1話のラストで、舞台『東京ブレイド』の稽古を見た漫画原作者のアビ子が「脚本を全部やり直してほしい」と厳しく指摘するシーンの続きに当たる今回のエピソードを観て、なんともやり場のない重い気持ちになった視聴者も多かったのではないか。

 人付き合いが苦手で、自身の作品に強いこだわりを持つ『東京ブレイド』の原作者・アビ子。彼女の妥協を許さない姿勢には、創作のプロフェッショナルとしての矜持が感じられる。しかしその物言いは時に厳しさを超え、GOAにとっては自身の解釈や創意工夫を全否定されたかのような苦痛を感じさせたかもしれない。ちなみに、シリアスな展開の中で、アビ子の「ダブル歯磨き」シーンがアニメ化されたことは、ファンにとって嬉しい要素だったに違いない。

 アビ子は稽古開始前から、何度も脚本に対して修正指示を出していた。それにもかかわらず、齟齬のある脚本が完成した背景には複雑な理由があった。第13話のタイトル「伝言ゲーム」が示唆するように、実写化プロジェクトでは意見の伝達が文字通り「伝言ゲーム」と化してしまうのだ。舞台製作には多数の関係者が携わる。アビ子の脚本に関する意見は、編集者、プロデューサー、マネージャー、脚本家など、様々な人物を経由する過程で、本来の意図から徐々に乖離していってしまう。

 原作の意図を正確に伝える難しさと、それを新たな形に昇華させる過程での齟齬。メディアミックス化に伴う本質的な課題とは、多数の関係者間のコミュニケーションにおける構造的な問題なのだ。

 そんな舞台化プロジェクトの裏側を描く第2期で、実質的な主人公と言えるほどの存在感を放っている人物が黒川あかねだ。

 ビジュアル面でも、ボブカットからロングヘアへのイメージチェンジを果たしたあかね。もちろん、アクアの好きなアイに見た目を寄せている。古典的な演劇しか知らないアクアにステージアラウンドを紹介するため、「せっかく時間できたんだから、ちょっとデートしよ?」と誘うシーンは、視聴者の心を鷲掴みにしたのではないか。

 さらに、会話の中で「ぷくーっ!」とほおを膨らませるなど、等身大の女の子らしいかわいらしさも随所に見られ、プロの役者としての一面と素の魅力が絶妙なバランスで描かれている。第2期では、有馬かなとの「役者としても、一人の女の子としてもライバルである」という関係性も強調されており、互いにアクアを意識しているかのような言動もかわいらしい。

 あかねといえば、第1期でリアリティショー内でアイを「降ろした」かのような衝撃的な演技を披露したシーンを思い浮かべるファンも多いはず。石見舞菜香の声優としての力量が遺憾なく発揮されたこの場面は、放送当時大きな反響を呼んだ。役を徹底的に分析し、心理学に基づいて思考パターンまで考察する「憑依型」の演技スタイルは、舞台『東京ブレイド」の制作陣からも高く評価されている。

 原作の流れで進むのであれば、来週はあかねとアクアのデート回が予定されているはずだが、ぜひこのあたりで「アクあか」カップルのアニメオリジナルの展開もぜひ盛り込んでほしいところ。

 ビジネスカップルとして始まった2人の関係性の変化や、あかねのライバルとも言えるかなとの対比の描写に、期待は膨らむばかりだ。第2期初回から業界の裏側を描くピリついた展開が続く中、来週の展開は視聴者にとって束の間の癒しとなるかもしれない。