『Believe』でサラリーマン役の木村拓哉 「なにを演じてもキムタク」批判こそ”大スターの証”

AI要約

キムタクこと木村拓哉の最新ドラマ『Believe-君にかける橋ー』が終了し、視聴率や演技力についての様々な意見が飛び交っている。

木村は「何を演じてもキムタク」と揶揄されることがあり、ファンも彼のカッコいい姿を求めているとされる。

一方、制作サイドは木村のファンが求める姿をドラマに反映し、高視聴率を獲得することを目指しているとされる。

『Believe』でサラリーマン役の木村拓哉 「なにを演じてもキムタク」批判こそ”大スターの証”

ドラマ出演が決まれば、放送前から視聴率の予想などあれやこれや言い立てられ、酷いのはまだドラマを見てもいないのに出てくる批判的なコメント。放送が終われば終わったで、ドラマの内容だけでなく主演俳優があれこれ検証されるのは、この人くらいじゃないだろうか。

そう、キムタクこと木村拓哉だ――。

木村といえば、主演ドラマは軒並み高視聴率を叩き出し、スーパースターの誉れが高かったが、最近は以前ほどの勢いはなくなり、他ドラマの後塵を拝することも多くなった。

そして26作目の主演連続ドラマ『Believe-君にかける橋ー』が先日最終回を迎えた。

放送が始まる前に、主人公の職業設定について間違いを指摘されるなど、ネットでは先行きを不安視する声も出ていたが、終わってみると、数字はそれほど悪くなかった。しかし4月期ドラマで視聴率トップは叶わず2番手となり、お約束通りの“キムタク検証記事”が飛び出している。

いまさらだが、キムタクドラマ検証で、よく俎上に載せられるのが“なにを演じてもキムタク”。つまりどんな役を演じても『木村拓哉』にしか見えないということだ。木村が多種多様な職種を演じることから“職業コスプレドラマ”と揶揄されたこともある。

’19年1月2日に放送された『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)に出演した木村は、ドッキリを仕掛けられ、

「だってやることなすことね、いろいろ叩かれるから。自分だって言われるもん。何やったってキムタクだって」

と自身の持つ苦悩をさらけ出している。

最近はクセのある役を演じて“キムタク臭”を払拭しようとしているように見えるが、いかんせん、やはりキムタクだ。

今回は、今まで演じたことがなかった大手ゼネコンの土木設計部部長。最近は、“憧れのヒーロー像”を捨てて、挫折を乗り越えて這い上がる役どころに挑戦してきた木村が、今回はケガをしてその痛みに耐えながら逃亡生活を送る、最もカッコ悪い役どころを演じた。

「どん底からの復活劇であって、新境地を開拓したい木村の思いが伝わってくる」

と感じる業界関係者もいるそうだが、果たしてそうだろうか。

ハリウッドのアクション映画でもよく見られる、落ちぶれてみじめな生活を送っている元特殊部隊隊員やCIAのエージェントが悪人と対峙し、一旦はボコボコにされながらも最後は全員なぎ倒す。あれとそんなに変わらないだろう。彼らはどうみてもスーパーヒーローだ。

今回も、収監された主人公が刑務所の中で囚人たちに絡まれ、結局全員倒してしまう。格闘技経験のあるサラリーマンかもしれないが、やっぱりカッコいいヒーローに変わりはない。

「“何を演じてもキムタク”、“どんな時もどこでもヒーロー”なのは木村さんだけの責任ではないです。スターを主役に据えた場合、それは仕方ないことですし、制作サイドの思惑ですから」

と言うのはベテラン映画記者だ。

以前私が

「木村さんもハリウッドのスターのように汚れ役、嫌われ役、大悪人を演じたら面白いんですが」

と発言したところ、ファンから

「そんなのは他の俳優がやればいいんです。木村さんはカッコいい役だけでいいんです」

とお叱りの言葉を多数いただいたことがある。多くのファンは木村のみっともない姿など見たくはないのだ。

逆にファンが望む姿の役を演じさせることで、そのドラマは高い視聴率を獲得することができると制作サイドは考えているのだろう。

「ドラマ制作サイドは当然、視聴率のことを念頭に入れていますから、どうすれば数字を稼げるドラマを作れるか、常に頭を悩ませています。ですが、あれだけ多くのファンを抱える木村さんを主役にしたドラマを作れば、ある程度、いや最高視聴率だって見込めます。

だから制作サイドにとって木村さんを主役に据えることは、楽といえば楽なんです。もっと言えば、ファンは『木村拓哉』を見たいのであって、『何を演じてもキムタク』で満足する。アンチは彼が出るドラマは見ないでしょうから、無視していいんですよ」(ドラマ制作会社プロデューサー)

ドラマを見る多くのファンがそれを望むのであれば、数字を求める制作サイドもそれに応じるのが当然のことだという。その上で、木村の演技力云々に関して論及されることには、

「昭和の大スターといわれた人たち、特に男性スターは決して演技力があったとは言えません。大スターの中には、木村さんと同じように“何を演じても○○○”という人もいました。

でも彼らを見たくてみんな映画館に足を運んだんです。スターとはそんなものです」(前出・ベテラン映画記者)

と、大スターに演技力を求めることはナンセンスだという。

良くも悪くも多くの人が注目し、数字が取れてお金を持ってこられる俳優が大スターの証とすれば、木村もその一人であることは間違いないーー。

取材・文:佐々木 博之(芸能ジャーナリスト)

宮城県仙台市出身。 31歳の時にFRIDAYの取材記者になり、数々のスクープを報じてきた。 その後も週刊誌を中心に活躍。 現在はコメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中