なぜ『FF14』は熱狂的な支持を集め続けているのか? 最高峰のMMORPGが持つコンテンツへの自信

AI要約

『ファイナルファンタジー14(FF14)』が人気の理由を解説。ストーリーコンテンツの充実、ユルいコンテンツ、ユーザーフィードバックへの対応、休止してもいい遊び方などが挙げられる。

MMORPGのFF14がなぜヒットするのか?その理由を解説

1. 「ファイナルファンタジー」としてのストーリーコンテンツの充実 2. ハードに遊び倒さなくても楽しいユルいコンテンツの豊富さ 3. 常にユーザーフィードバックを聞き入れる姿勢

なぜ『FF14』は熱狂的な支持を集め続けているのか? 最高峰のMMORPGが持つコンテンツへの自信

 いまやスクウェア・エニックスの屋台骨となり、世界でも有数のMMORPGとしてその名を轟かせる『ファイナルファンタジー14(以下、FF14)』。新生から10年以上が経過したいまなお新規ユーザーを増やし、コンテンツの拡充を続けている本作は、7月2日に大型拡張コンテンツ『黄金のレガシー』をリリースする。

 オンラインゲームが跳梁跋扈する現代において、なぜMMORPGというやや古めかしい形態のゲームが、ここまでヒットを飛ばしているのか? その理由について、いちファンとして考えてみた。

1.「ファイナルファンタジー」としてのストーリーコンテンツの充実

 MMORPGという継続型のサービスでありながら『FF14』はストーリーの完成度にこだわっている作品である。

 8年以上のアップデートを繰り返してついに『暁月のフィナーレ』にて完結したメインクエストは、「FF」シリーズが描いてきた闇の勢力との攻防や、仲間たちとの共闘をしっかりと描きながらも、衰退しゆく帝国の無残な姿や、単なるモンスターではない勢力が抱く彼らなりの正義など、新しい角度からFFらしさに切り込んでいる。

 物語の大半は「暁の血盟」という組織に加わって進行していく。彼らは「国家を超えた枠組みで世界にはびこる問題を解決する」というヒロイックで壮大な志に沿って行動していくものの、その解決方法は各勢力への根回しや会談が主で、派手な武力衝突は最終手段としている。

 ただ武器を振り回せばクエストクリアになるゲームではなく、あらゆる立場に置かれた人々の苦悩や葛藤を何度も見つめ直すことになるので、大の大人でも充分に感動できるストーリーになっているのだ。もちろん、長尺のドラマならば絶対に欲しいとんでもなく大掛かりな伏線回収劇も見どころである。

 また、メインクエスト以外にも、土着のモンスターたちがそれぞれの問題に悩んでいるのを解決してあげる「友好部族クエスト」や、歴代FFの大型ボスたちにまつわる逸話が展開される「ノーマルレイド・アライアンスレイド」といったコンテンツにも、ひとつひとつ完結したストーリーが付いているのも素晴らしい点だ。きっとお気に入りのNPCが見つかることだろう。

2.ハードに遊び倒さなくても楽しいユルいコンテンツの豊富さ

 本作を「麻雀」で知った人も多いのではないだろうか。『FF14』は、戦闘以外のサイドコンテンツが大量に用意されているのも注目点だ。

 といっても、本編の途中で一度遊んでそれっきりというものではなく、それ自体を繰り返し楽しめるほど奥深いものが多い。

 「ゴールドソーサー」というカジノエリアにある「ドマ式麻雀」はもちろんのこと、家やアパートを買って家具を揃える「ハウジング」や、歴代FFのアイコニックなキャラクターのカードを集める「トリプルトライアド」など、枚挙に暇がない。

 特に、採集や製作によって他の冒険者を手助けしたり、完成品をユーザー間マーケットに出品してお金を稼いだりできる「ギャザラー&クラフター」というMMORPGの花とも言えるコンテンツがあるが、こちらのジョブにもすべてストーリーがくっついており、その豊富さは眩暈がするほどだ。

 本編の壮大でファンタジックな物語に比べ、こちらのストーリーラインはより現実的な雰囲気になっており、師弟関係のこじれや、仕事を行ううえでの心構えといった、人生で大事なことを教えてくれるような話が目立つ。特に筆者は、木工師と錬金術師のクエストが気に入っている。

3.常にユーザーフィードバックを聞き入れる姿勢

 継続型のタイトルを成り立たせるために重要なのは、運営のきめ細やかな対応だ。文字で書くとなんとも当たり前すぎる結論だが、実際に10年以上ものあいだ、支持される運営を続けることは大変に苦労が伴う作業だっただろう。

 ゲーム内の治安を維持するだけでも相当なものだが、コンテンツのアップデートに関しても、かなり気を遣っていることがわかる。

 たとえば、長らくひとつの服に対して単一の染色しかできなかったが、今回の大型アップデートに際して、部位によって染色を分けることが可能になる。これによってお洒落の幅が格段に上がることだろう。

 他にも、頭装備が着けられないロスガルという種族のために、専用の髪形を追加するなど、その時点では一部のユーザーにしか関係がないことも、しっかり目配せをしていく。

 こういった事細かな調整は挙げ始めたらキリがないほどで、痒いところに手が届くアップデートが日夜行われており、遊べば遊ぶほど便利になっていく感覚を味わえる。まるで、早期アクセスのゲームのコミュニティを覗いているかのような気分だ。

4.「休止してもいい」という現代らしい遊び方

(引用)

どうしてもMMORPGは、ずっと遊んでなきゃいけない、と思われがちなゲームです。それも壊したかったところがあって……。ドイツのプレイヤーから「『FF14』が大好きなんだけど続けるのが苦しくて、ちょっと休止してるんだ。ごめんよ、吉P」と言われて、「いいんだよ別に。ほかのゲームを遊んでから、気が向いたら帰ってきて」と伝えたら、「そんなこと言うプロデューサー初めて会ったわ」と言われたこともありました(笑)。

(引用ここまで)

 上記はリアルサウンド テックに掲載されたプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏のインタビューより抜粋した。

 コンテンツが多様化している現代において、ユーザーの視点からすると至極当然ではあるが、作り手側からするとその本音は呑み込みづらいものだろう。ハードに遊び倒すのを要求するだけがMMORPGではないという考え方は、ユーザーは必ず戻ってきてくれる……とコンテンツに自信を持っていることの裏返しとも言える。

 以上、『FF14』の人気の理由を4つの観点から読み解かせていただいた。まだエオルゼアの大地に立っていないあなたも、これを機に降り立ってみてはいかがだろうか。