由美かおるの「レオタード」はどう考えてもあり得ない…「昭和の時代劇」に無理やり盛り込まれた「肉体美」のナゾ

AI要約

1969年に放送された時代劇『素浪人花山大吉』では、時代考証を無視したお色気シーンが描かれていた。特に、ポニーテールにミニスカート風の衣装を身に着けた女性キャラクターが熊のぬいぐるみを持って登場するシーンが話題となった。

このような女性キャラクターに関する時代考証の棚上げは、当時の業界で暗黙の了解とされていた。時代劇の中でのお色気シーンは、海外のエンタメ作品の影響も受けている可能性がある。

特に、1967年に公開された映画『恐竜100万年』における主人公のセクシーな衣装が、日本の映像関係者に一定の影響を与えた可能性がある。

由美かおるの「レオタード」はどう考えてもあり得ない…「昭和の時代劇」に無理やり盛り込まれた「肉体美」のナゾ

 大ヒットしたTBSテレビの金曜ドラマ『不適切にもほどがある』では、昭和のドラマの「現代ではありえないような描写」が折に触れられた。振り返れば、本筋とはまるで関係のない「お色気シーン」が挿入されていたことも多く、殊にそれは時代劇など歴史モノで際立った。前編〈ミニスカートに網タイツで…時代考証ガン無視の「お色気シーン」が昭和のテレビで流れた「背景」〉に続いて、歴史作家で大の歴史ドラマ好きである筆者が、記録と記憶をたどりながら時代劇の「ふてほど」を考察する。

 実は、レギュラー出演の女性が、時代考証など無視して、大胆に太ももを見せる時代劇は、先に紹介した作品以前にも存在した。NETテレビ(現テレ朝)系列で1969年1月から翌年12月まで土曜日の夜8時から1時間枠で放送された『素浪人花山大吉』全104話がそれである。

 『素浪人花山大吉』主人公の花山大吉とコメディー担当の焼津の半次が珍道中を繰り広げる話で、第79話からお咲という娘が道中をともにするが、ポニーテールにミニスカート風の衣装というだけで違和感十分なところ、お咲は常に熊のぬいぐるみを放さずにいる。それも20世紀の工場製品としか見えないぬいぐるみを。

 どうやら、特定の役割を担う女性に関しては、時代考証は棚上げでよいとする暗黙の了解が、この頃すでに業界人の中で生まれていたようである。

 時代劇にかこつけて女性のお色気シーンが登場するようになったのは、海外のエンタメの潮流からも多少影響を受けた可能性がある。1967年に日本で公開された英米合作映画『恐竜100万年』において、主人公のロアナは革製のビキニ風衣装で、他の女性たちの衣装はそれより肌の露出は少ないながら、やはり水着に近い。ロアナを演じたラクエル・エルチはこの作品により、一躍セックス・シンボルとして祭り上げられた。

 日本の映像関係者がこの作品を見てないとは思えず、日本も負けてはいられないなどと、変な競争意識に奮い立ったとしてもおかしくはない。