「賽の河原」のように石を積み上げ、安らかな死を目指す不穏なパズルゲーム『子どもたちの庭』Steamストアページが公開。カジュアルなゲームだがダークな設定、「ぼくはただのかたまり」と少年が独白する場面も

AI要約

デベロッパーのKENKOH-KIKOHは「子どもたちの庭」というパズルゲームのSteamストアページを公開。ゲームはランダムマッチで競うマルチプレイ向けの「積み木遊び」ゲームで、ダークな要素も含む。

ゲームのルールは「おんぶつくん」を積み上げる競い合いが中心で、特徴的なシステムや攻防が楽しめる。名前の由来や開発者の背景にも注目が集まっている。

ストアページやプロトタイプ展示時の情報をもとに、ゲームの内容やテーマ、制作陣の情報が紹介されている。期待が高まる作品となっている。

「賽の河原」のように石を積み上げ、安らかな死を目指す不穏なパズルゲーム『子どもたちの庭』Steamストアページが公開。カジュアルなゲームだがダークな設定、「ぼくはただのかたまり」と少年が独白する場面も

デベロッパーのKENKOH-KIKOHは6月14日、「賽の河原」のように石を積み上げ、安らかな死を目指すパズルゲーム『子どもたちの庭』のSteamストアページを公開した。本作の発売時期や価格は、執筆時点で明かされていない。

本作は、世界中のプレイヤーとランダムマッチで競うマルチプレイ向けの「積み木遊び」ゲーム。子供でも楽しみやすいカジュアルな対戦パズルゲームのように見えるが、ストアページの各所からは何やらダークなエッセンスが垣間見える作品となっている。

本作のプロトタイプはかつて、宍倉志信氏の作品として藤沢市アートスペースにて展示されていた。当時のバージョンでは画面に表示されたカーソルから「おんぶつくん」と呼ばれる存在を落下させることができ、「おんぶつくん」を「じぶんのうつわ」に積み上げることが中心となっていた。

カーソルにはゲージが存在し、ゲージによって落ちる「おんぶつくん」のかたちが三角形、円、四角形と変化するため、任意の形状を駆使して高く「おんぶつくん」を積み上げたり、はたまた相手の積み上げる行為を妨害することがゲームの中心となる。

ルールは所有者を問わず「おんぶつくん」を6個「じぶんのうつわ」に乗せる、「自分のおんぶつくん」を「うつわ」に合計8個乗せる、「うつわ」から「自分のおんぶつくん」を10個落とす、といったルールが用意され、ルールに応じて表情の異なる攻防を楽しめる。

なお、上述したルールやシステムはかつて展示されたバージョンに基づいている。Steam版はシステムが変化している可能性も高いため注意されたい。

本作の名前の由来は、世界で初めて「幼稚園」と言う概念の構築、およびその設立を行ったドイツの教育学者・フリードリヒ・フレーベルが立ち上げた小児向け教育施設「Kindergarten」の意訳に基づいている。

そして、フリードリヒ・フレーベルの生み出した功績のひとつに現代の「積み木」の原型となった玩具「恩物」の発明があるという。

いっぽう、日本では過去に「賽の河原の石積み」という積み木遊びに似た物語が親子向けに流行していた。

本作の開発者は、「恩物」および「賽の河原」が物語や価値観を“信仰”へと変容させ、人間に入力する装置であり、それらが「玩具遊び教育」の一原型を示していると考えている。本作はこういった「玩具遊び教育」に関する知見を踏まえた作品になっているようだ。

ストアページのスクリーンショットでは「じぞうぼさつさま」と呼ばれる人物による「てんのちちの あいにみちた ひのひかりは こどものおまえを みすてはしない。」という台詞や、病室に寝転ぶ少年が「ぼくはただのかたまり」と独白するシーン、「かみさまを ゆるして いいんだっけ?」と述べる場面など、緊張感のあるフレーバーおよび物語要素も伺える。

「カジュアルなパズル」に油断しているうちに、ふと突き付けられるシリアスな表現にも注目したい。

本作は前述のとおり、美術家の宍倉志信氏が中心となり開発している。宍倉志信氏は「祭壇」や「パチンコの筐体」、視力検査機のような装置などを駆使したインタラクティブな映像作品を手掛けており、各作品は物語を鑑賞者に提供するユニークなフォーマットを追求したかたちとなっている。作中では「儀式的体験」などモチーフになっており、今作『子どもたちの庭』は宍倉志信氏がこれまでに追求してきたテーマを踏まえた作品と言える。

また、制作協力として、金井啓太氏がシステムエンジニアを担当し、SEおよびBGMを堀聖史氏、イラストレーション、アニメーションを米澤柊氏が手掛けている。いずれも美術や音楽の作家として活躍しており、作品のディテールも見どころとなりそうだ。

興味がある読者は『子どもたちの庭』をウィッシュリストに登録し、発売を待とう。