『虎に翼』なぜか憎めない小橋の愛らしさ 余韻を残す名村辰の“絶妙なさじ加減”

AI要約

NHK連続テレビ小説『虎に翼』第10週では、寅子が司法省での仕事を得るが、同級生の小橋と再会する。小橋の特徴的な髪型や嫌味っぽい態度が注目され、視聴者に愛嬌を与えるキャラクターとして描かれている。

小橋の存在は、名村辰演じるキャラクターとしての魅力によるものであり、嫌味ながらも視聴者に愛想を感じさせる演技が評価されている。

物語は、寅子が仕事を通じて重大な出来事に直面する展開となり、彼女の踏ん張りや成長が描かれる。

『虎に翼』なぜか憎めない小橋の愛らしさ 余韻を残す名村辰の“絶妙なさじ加減”

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』第10週「女の知恵は鼻の先?」が放送された。寅子(伊藤沙莉)は再び仕事を得るべく、司法省の門を叩く。晴れて民事局の民法調査室で働くこととなったが、そこにいたのは、かつての同級生の小橋(名村辰)だった。小橋は裁判官となり、地裁から民事局に出向してきていたのだ。

 今週は印象的なシーンが数多くある中で、あえて触れておきたいのが“発芽玄米”こと小橋の存在だ。実は伊藤沙莉が5月25日の『土スタ』(NHK総合)に生出演した際に、ぴょんと跳ねた特徴的な髪型の小橋を“発芽玄米”と呼んでいると言ったことがSNSでも大きな話題となった。

 かつて寅子たちを侮辱したことでよね(土居志央梨)から股間を蹴り上げられたエピソードを持ち、それ以外にも幾度となく“失礼垂れ流し”をしてきた小橋。とにかく口を開けば嫌なやつで、それは学生ぶりに再会しても全く変わらない。寅子にとってはやや残念な再会相手だったかもしれないが、視聴者にとってはちょっとかわいらしさもある小橋の再登場に、ほっこりした人もいたことだろう。

 そして今週は小橋の髪型がチャームポイントとして、ことさらフォーカスされる。エピソードの最後の「つづく」という文字がぴょんと跳ねた部分に乗っかっていたり、第47話のスタートが小橋の髪のクロースアップからという小ネタも。小橋は“嫌なやつ”だが、ついいじりたくなるような愛嬌も持ち合わせたキャラクターなのだ。

 その愛らしさの所以は、やはり名村の芝居のさじ加減が絶妙であることだろう。つぶらな瞳に、発芽玄米ヘア、プリッとした唇がかわいくて、ついつい嫌味も笑って受け流せそうな気になる。言っていることは確かに意地が悪くて嫌味っぽいが、寅子やいろんな人たちの状況を実によく見ているなと感心してしまう側面も。周りの人が嫌いだから攻撃したり遠ざけたりしているというよりは、「構ってもらいたい」というこじれた感情がチラリと見えるところも小橋の良さだろう。名村はこうした嫌味なセリフのオンパレードでも、どこが愛嬌を感じさせる余韻を残して演じているのだ。

 現在は舞台の稽古をしていることを自身のX(旧Twitter)で報告しており、『虎に翼』以外にも、舞台『雨とベンツと国道と私』、『RUN TO YOU』で魅力的な姿を見せてくれそうだ。これだけ印象的な芝居をしてくれていると、つい“発芽玄米”じゃない姿にも興味が湧いてくる。

 そんな、第10週のほっこりポイントを席巻した小橋だが、SNSでは「ああ見えて優しい」「なぜか憎めないキャラ」などの意見が見られる。やはりこのいたずらっ子のような愛嬌は視聴者にも伝わっているようで、小橋を応援する声も散見された。

 第10週のラストには衝撃の出来事も。花岡(岩田剛典)の死を、寅子はどう受け止めるのだろうか。父、兄、夫を亡くし、大切な友人であったよねや轟(戸塚純貴)も消息がわからないまま花岡までも失ってしまった寅子の気持ちを考えただけでも胸が痛くなる。それでも仕事を続けながら、“戻りたくて戻った”法の道を行く寅子の踏ん張りを見届けたい。