裁判で非開門確定の諫早湾干拓 農水省と漁業者、議論は平行線

AI要約

国営諫早湾干拓事業(諫干)に関連する福岡高裁の判決をめぐり、農林水産省が漁業者らと有明海の再生について説明会を開催した。

2010年の判決は潮受け堤防の開門を無効とし、野村哲郎農相は話し合いを設けて関係者の意見を聴取する方針を示していた。

会合では、農水省は開門は選択肢にないと説明する一方、漁業者側は開門の必要性を主張し、議論は難航している。

裁判で非開門確定の諫早湾干拓 農水省と漁業者、議論は平行線

 国営諫早湾干拓事業(諫干)を巡り、農林水産省は1日、2010年に福岡高裁が国に潮受け堤防の開門を命じた判決(確定)で原告だった漁業者らを対象に、有明海の再生に関する説明会を長崎県雲仙市で開いた。同省が非開門を前提とした話し合いに応じるよう求めたのに対し、漁業者側は開門の必要性を訴え、議論は平行線に終わった。

 10年の判決は国が起こした請求異議審で23年3月に「無効化」が確定し、潮受け堤防の開門はなくなった。これを受け、野村哲郎農相(当時)は有明海再生に向けた国や自治体、漁業者、農業者らによる「話し合いの場」を設けた上で、関係者の意見を踏まえて「必要な支援を講じる」とする談話を出していた。

 この日の会合で、農水省の担当者は「開門は選択肢として考えられない」と説明。一方、漁業者側は「開門せずに、どうやって海を再生するのか」などと訴えた。【松尾雅也、松本美緒】