「みんな死んじゃう」現場緊迫 東海道線踏切事故 運行優先で連携不十分の声も

AI要約

救助活動中に起きた人身事故で、現場の複雑な線路構造と連携不足が問題となった。

関係者間の意思疎通が不十分で、電車の通行情報が適切に伝わらなかった可能性が指摘されている。

運転再開の優先度が安全より高かったとして、社員の対応が批判されている。

「みんな死んじゃう」現場緊迫 東海道線踏切事故 運行優先で連携不十分の声も

「このままだと、みんな死んじゃう」。救助活動中に隣の線路で電車が動き出し、現場に居合わせたJR社員がこう叫んだという。4月、横浜市のJR東海道線踏切で起きた人身事故では、運転再開を急ぐあまり、関係者の連携が十分に行われなかったことを疑問視する声もあがる。

現場の踏切は、南側の東海道線と京浜東北線との間に大きな空間が広がる。だが、ここから100メートルほど東京方面へ向かうと、線路間隔が狭まる構造になっており、事故当時と同じ夜間には、どこがどの線路なのか判別しにくい。

関係者によると、当該電車の運転士と最寄り駅から現場に駆け付けた駅係員への引き継ぎの際、電車が通過できない区間の情報や線路に立ち入った社員や消防、警察の人数が正確に伝わっておらず、当事者間の意思疎通が不十分だった可能性もあるという。

平成14年、大阪市淀川区のJR東海道線で救助活動中の救急隊員2人が特急列車にはねられ死傷した事故では、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本社員3人が安全確認を怠ったとして有罪判決を受けた。1審の大阪地裁は判決理由で「ダイヤの早期正常化に関心を傾けすぎていた」とも指摘した。

JR東関係者は過去の事例も踏まえつつ、今回の事案について「安全より運行優先と批判されてもおかしくない」と指摘。鉄道アナリストの川島令三氏は「JR東は業界の中でも人身事故処理の運行再開に慎重だと言われるが、今回のケースは現場の線路構造が複雑で、指令所側も十分に把握できていなかったことも一因ではないか」と話している。(白岩賢太)