バスケB2熊本ヴォルターズの「子ども食堂」広がる協力の輪…ファン・企業と3季目1200食

AI要約

熊本ヴォルターズが子ども食堂「ヴォルターズキッチン」を開催し、約1200食を提供。地域の子供たちが楽しく過ごせる場を提供している。

休眠預金を活用した助成事業から始まり、自前で継続。選手やチアリーダーも参加し、地域貢献に取り組んでいる。

観客動員数が多い熊本ヴォルターズは、知名度を生かして幅広い支援を行い、子ども食堂にも活用している。

 バスケットボール・Bリーグ2部(B2)の熊本ヴォルターズの運営会社(熊本市)が、熊本県内で「ヴォルターズキッチン」と名付けた子ども食堂を開いている。昨年8月からの3季目はこれまでに7回開催し、前季の3倍以上となる約1200食を提供した。食材の寄付など協力の輪も広がっている。(前田剛)

 4月27日に開催された同県益城町の会場には、カレーライスの香りが漂っていた。外の広場にはバスケットボールのリングや、障害物を跳び越えるなどして移動する「パルクール」のコースが設置され、夢中になって遊ぶ子どもたちの姿も。昼の約3時間で中学生以下53人を含む91人が利用。運営会社の取締役執行役員、福山直樹さん(37)は「みんなが楽しく過ごして気分転換できる。そんな居場所になれたら」と語った。

 2021年度に休眠預金を活用した国の助成事業に応募し、一人親世帯への支援として昼食の提供と映像で試合観戦を楽しむ企画を行ったのが始まり。アンケートなどから経済的困窮や孤食の状況などを知り、「エンターテインメントは安全や安心な暮らしの上に成り立つ。困っている人を支える手伝いをしたい」との意識が社内で共有された。助成対象から外れた翌年度から「ヴォルターズキッチン」として自前で継続してきた。

 B1では数クラブが取り組んでいるが、事例は少ない。熊本では調理や配膳は運営会社の従業員らが担い、不定期で選手やチアリーダーが手伝う時もある。福山さんは「選手たちも、応援してもらって初めて自分たちの仕事が成り立つことは分かっている。地域貢献への意識は高い」と話す。

 クラブの強みは、23~24年シーズンに1試合平均で過去最多の約2700人の観客を集めた知名度で、ファンらを幅広く巻き込むために食堂は誰でも利用できるようにした。大人1000円、中学生以下200円の料金は運営費に。別に子どもの食事代を支援する「みらいチケット」(1枚200円)を販売し、その売り上げで今季は6月までに一人親世帯の子どもら270人を無料招待する。