台風10号、九州北部横断へ 太平洋側各地で大雨 3人死亡、各地で被害

AI要約

台風10号が九州北部を縦断し、四国や中国地方へ進む見込みで、大雨や洪水への警戒が呼び掛けられている。

台風接近による影響で、蒲郡市で土砂崩れの被害が発生し、鹿児島市でも船舶事故が起きた。また宮崎県では多くの人々が負傷し、被害が広がっている。

各地で記録的な豪雨や強風が観測され、河川の氾濫や土砂災害に備えた緊急対応が行われている。

 台風10号は29日午前8時ごろに鹿児島県薩摩川内市付近に上陸し、午後は九州北部を北上した。

 非常に強い勢力は弱まったが、30日午後にかけて九州北部を東へ横断し、その後は四国か中国地方へ進む見込み。九州のほか、関東から四国にかけての太平洋側各地で大雨になる所があり、気象庁は土砂災害や低地の浸水、河川の氾濫に厳重な警戒を呼び掛けた。

 鹿児島県(奄美地方を除く)に出ていた暴風と波浪の特別警報、薩摩川内市などに出ていた高潮の特別警報は、29日午前10時半に警報・注意報に切り替えられたり、解除されたりした。

 台風接近に伴う各地の大雨などでは、愛知県蒲郡市で一家5人が土砂崩れに巻き込まれ、3人が死亡した。鹿児島市では港で作業船が転覆して男性船長が行方不明となり、その後、付近で漂流中の遺体が見つかった。そのほか宮崎県で35人が重軽傷を負うなど各地で被害が出ている。

 宮崎、鹿児島、大分の各県では29日未明から朝にかけ、発達した雨雲が連なる線状降水帯が相次いで発生。宮崎県美郷町(神門)では午前2時25分すぎまでの1時間に95.5ミリの猛烈な雨が降り、午後3時20分までの72時間雨量は8月の最多記録を更新する827.5ミリに上った。鹿児島県枕崎市では午前0時55分ごろに最大瞬間風速51.5メートル、佐賀県唐津市では午後4時5分に同43.5メートルを観測した。

 大分県由布市では宮川が氾濫。同市と宇佐市、国東市、豊後高田市では5段階の警戒レベルで最も高い緊急安全確保が発令された。

 線状降水帯は、東海で30日午前まで、九州北部と山口県では同日の日中まで、四国では夜まで発生する可能性がある。

 10号は29日午後5時、長崎県雲仙市付近をゆっくりと北へ進んだ。中心気圧は980ヘクトパスカル、最大風速30メートル、最大瞬間風速45メートル。半径110キロ以内が風速25メートル以上の暴風域、半径390キロ以内が風速15メートル以上の強風域。

 30日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で、四国400ミリ、東海と九州北部300ミリ、関東甲信250ミリ、近畿と中国200ミリ、九州南部150ミリ。その後、31日午後6時までの同雨量は、四国400ミリ、東海と近畿300ミリ、関東甲信200ミリ、中国150ミリ、九州北部120ミリ。