事件前夜「また来るね」 八王子3人射殺から29年

AI要約

1995年7月に発生した八王子市のナンペイ大和田店での強盗殺人事件から29年が経過し、未解決のままである。犠牲となった稲垣則子さんの最後の言葉や人柄が友人によって振り返られている。

稲垣さんは介護の試験を受けることを楽しみにしており、その後の展望が示されていた。明るく笑顔を絶やさない人柄が周囲から愛されていたことが伺える。

葬儀に訪れた多くの知人から愛されていた稲垣さん。彼女の亡くなった後も、彼女を覚えている人々が多いことが伝えられている。

事件前夜「また来るね」 八王子3人射殺から29年

 1995年7月に東京都八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」で勤務する女性3人が射殺された強盗殺人事件は、未解決のまま30日で発生から29年となった。「また来るね」。犠牲になったパート稲垣則子さん=当時(47)=の行きつけの飲食店で働き、事件前夜も一緒だった女性(82)は稲垣さんの最後の言葉を振り返り「彼女を忘れたことはない」と話す。

 「介護の試験に受かったら、あのウイスキーを入れようと思う」。事件前日の土曜夜、店を訪れた稲垣さんは目を輝かせながらそう話した。八王子市内で経営していたスナックをたたみ、介護関係の資格取得を目指していると聞いていた。「月曜にまた来るね」。いつものように見送った。

 呉服店やブティックで働いていた時期もあった稲垣さん。女性は仕事の相談などに度々乗っていた。気の強い一面もあったが、スナックをやめてから次第に穏やかな表情を見せるように。「少女のように明るく笑う人だった。事件当時は険しい表情の顔写真ばかりが報道され、心苦しかった」

 葬儀には多くの知人らが訪れ、愛された存在だったと感じた。女性は大切にしていた数珠をひつぎに入れた。