藤井聡太棋聖、地元・愛知で永世称号獲得へ 棋聖戦第3局「大きな一局」/将棋

AI要約

藤井聡太棋聖と山崎隆之八段の対局で、藤井棋聖は2連勝し永世称号の資格獲得を目指す。地元・愛知で5連覇を狙う第3局が行われる。

藤井棋聖は永世称号最年少記録更新を目指し、返り咲きを果たすため静かな闘志を燃やしている。

失冠後の藤井棋聖は「一手一手考えて、いい将棋にすることを意識したい」と述べ、地元対局で偉業を達成する意気込みを示す。

藤井聡太棋聖、地元・愛知で永世称号獲得へ 棋聖戦第3局「大きな一局」/将棋

将棋の藤井聡太棋聖(21)=7冠=が山崎隆之八段(43)と対局する「ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負」(主催・産経新聞社など、特別協賛・ヒューリック)の第3局が1日、名古屋市の「亀岳林(きがくりん) 万松寺(ばんしょうじ)」で指される。両者は6月30日、対局場で盤や駒などを確認する検分を行った後、主催者の取材に対応。2連勝の藤井棋聖は叡王失冠後、初の対局となるが、地元・愛知で5連覇と自身初の永世称号の資格獲得を狙う。

地元・尾張の戦国武将、織田信長ゆかりの身代不動明王がまつられる万松寺。主催者による取材の途中、時報で鐘の音が「ボーン」と響く独特の雰囲気の中、藤井棋聖が持ち前の〝不動心〟で静かに闘志を燃やした。

「大きな一局でもあり、地元の方に注目していただける機会であるので、いい将棋を指せるように全力を尽くしたい」

6月6日の第1局から連勝で迎えた第3局。勝てば5連覇で「永世棋聖」の資格獲得となる。各タイトルを通じて永世称号獲得の最年少記録は1971年に中原誠十六世名人が永世棋聖の資格を得た23歳11カ月で、21歳の藤井棋聖は53年ぶりの更新を目指す。

6月20日には叡王戦第5局で敗れ、2020年の第91期棋聖戦で初タイトルを獲得後、初の失冠。昨年10月に達成した全8冠独占から254日で7冠に後退したことについては「内容的にもミスが少なからず出てしまっていたので、やむを得ない結果と受け止めている」と冷静に分析。さらに「取り組むことも、気持ちも大きく変わらない」と、研究に対する集中力は持続している。

愛知県瀬戸市出身の藤井棋聖にとっては地元対局。今年度の愛知対局は1勝1敗で、万松寺では22年、第93期棋聖戦の第4局で勝利して3連覇を達成した。取材後に山崎八段と出席した前夜祭ではファンへのあいさつで、17年に同所で行われた名人戦を見学したと明かし「タイトル戦の雰囲気を学ぶことができた」と〝縁〟も強調した。

今回は失冠後、初のタイトル戦。8冠返り咲きに向けても負けられない戦いが続く中、藤井棋聖は「結果はついてくるものなので、明日(1日)は一手一手考えて、いい将棋にすることを意識したい」。地元対局で偉業を達成し、〝現役最強棋士〟の強さを見せつける。(山内倫貴)