沖縄県議選挙、知事派・反知事派の過半数焦点…自民は幹部の応援求めず

AI要約

沖縄県議選は、玉城知事支持派と自民党を中心とする反知事派の対立が焦点となっており、安全保障政策や政治資金問題が選挙戦で論争の的となっている。

自民党は22人を擁立し過半数獲得を目指す一方、立民や共産党は自民の政治資金問題を前面に押し出して批判し、南西防衛の強化などを訴えている。

政府と沖縄県の対立が続く中、南西諸島防衛を巡る取り組みが停滞しており、沖縄県の防衛力強化に関する意思決定が今後の選挙結果に影響を受けそうだ。

 7日に告示された沖縄県議選(定数48、16日投開票)は、安全保障政策で国と対立する玉城デニー知事の支持勢力と、自民、公明両党を軸とする反知事派のどちらが過半数を獲得できるかが焦点となっている。政党色を薄める自民に対し、野党側は自民の「政治とカネ」の問題などについて批判を展開している。(政治部 栗山紘尚、那覇支局 横山潤)

 10日午前、沖縄県沖縄市でマイクを握った自民の島尻安伊子・元沖縄相(衆院沖縄3区)は「沖縄の自民党として、玉城県政にノーだ」と声を張り上げた。自民公認現職の応援演説だが、党名を挙げたのは、この1回だけ。国政には触れず、地域経済を活性化するため、国と県の関係を強化する重要性を強調した。

 自民沖縄県連は今回、推薦を含めて22人を擁立し、公明の公認候補4人とあわせて16年ぶりの過半数獲得を目指す。県議会で多数派を握り、2026年の知事選勝利につなげたい考えだ。政治資金問題を巡る自民批判が沖縄に波及しないよう、党幹部の応援は求めず、告示前に現地入りした小渕優子選挙対策委員長も団体回りに徹した。

 一方、立憲民主、共産両党などの知事派は、自民の政治資金問題を前面に押し出している。8日に那覇市で街頭演説した立民の枝野幸男・前代表は「県民の思いを選挙結果という形で自民に突きつけよう」と呼びかけた。

 知事派は、南西防衛の強化が地域の緊張や地元負担につながるとの主張も選挙戦で繰り返している。これまで米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を結集軸としてきたが、移設を巡る法廷闘争が国の勝利で事実上決着したためだ。

 立民公認の現職は演説で、「台湾有事の名の下に、島の人の意向を無視した急速な防衛力強化が進められている」などと訴えている。

 国と沖縄県の対立が続く中、南西諸島防衛を巡る取り組みは停滞気味だ。

 政府は4月、平時から自衛隊の航空機や艦船の利用を可能とする「特定利用空港・港湾」を選定した。特に南西地域を重視していたが、沖縄県管理の空港・港湾は、玉城デニー知事が自衛隊の利用に慎重姿勢を崩さず、対象から外れた。同県うるま市で計画されていた陸上自衛隊の訓練場整備も、地元住民の反対などで断念に追い込まれた。

 林官房長官は10日の記者会見で「戦後最も厳しい安全保障環境を踏まえると、南西地域の防衛体制強化は喫緊の課題だ」と強調した。