日本、フィリピンに大型多目的船5隻供与 中国の威圧に対応

AI要約

フィリピン政府とJICAが97メートル級多目的船5隻の導入に関する円借款契約に調印多目的船の追加配備による海上安保や海難救助能力の強化を狙う日本は過去にも比に多目的船を供与し、今回は建造にも支援を行う

【シンガポール=森浩】フィリピン政府は10日、日本の国際協力機構(JICA)と97メートル級多目的船5隻の導入に関する円借款契約に調印した。南シナ海で中国による威圧が強まる中、多目的船を追加配備し、海上安保や海難救助を巡る能力を高める狙いがある。

JICAによると、日本は計約643億円の借款を行う。多目的船建造には日本の造船技術が活用される見通しで、2028年12月までの全船が引き渡しを目指している。

日本はこれまで円借款によって、比沿岸警備隊に44メートル級多目的船を10隻、97メートル級を2隻供与している。10日の調印式で、JICAフィリピン事務所の坂本威午(たけま)所長は日本が人材育成などソフト面でも比側に協力していることに触れつつ、新たな多目的船が「沿岸警備隊の能力をさらに強化する」と強調した。

南シナ海では、領有権を争う中比の対立が深まっており、中国海警局の放水によって比側に負傷者が出る事案が相次ぐ。比軍は4日には南シナ海のアユンギン(中国名・仁愛)礁に駐留する比兵士に向けた食料を中国海警局が強奪したと発表するなど、緊張が高まっている。