常に損得勘定する人たち 紅生姜を何十袋もわしづかみにし、予備のトイレットペーパーを持ち去り、植え込みから草花を抜く…

AI要約

日常生活で損得勘定をする人たちによるトラブルについて報告。

例を挙げながら、飲食店での問題を取り上げる。

過剰な紅生姜や唐辛子を持ち帰る客に関するインタビューも紹介。

常に損得勘定する人たち 紅生姜を何十袋もわしづかみにし、予備のトイレットペーパーを持ち去り、植え込みから草花を抜く…

 日常生活のあらゆる場面で「損得勘定」をしてしまう人たちがいる。人より得をしないと気が済まない、人を信用しない、人間関係ですら自分にとって得か損かだけで判断するなど、あまりよい意味では使われない「損得勘定」する人たちだが、言われている本人たちは損得勘定ではなく、自分は賢く権利を行使しているだけだと考えているようだが、最近、認知が歪んだ損得勘定をしながら日常生活を送る人たちのために、市民生活の様々な場面でトラブルが起きている。ライターの宮添優氏が、何でもかんでも損得勘定する人たちによって起きる混乱についてレポートする。

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 例えば、筆者が牛丼店に入り500円を払って牛丼を食べていたとする。牛丼に紅生姜をひとつまみ、そして七味唐辛子を2振りして食べていたら、隣席の客は紅生姜を山盛りに、唐辛子は具が見えなくなるまでふりかけているのを目撃する。果たしてこの時、筆者は「損した」と思うだろうか。いや、実際には同じ状況を何度も経験しているわけだが、思ったことはない。本当にそう思うなら、筆者も負けじと紅生姜や七味を山盛りにすればいいのだが、多すぎる薬味は好みではないだけだ。

 多くの人たちが筆者と同様の思いを抱くだろう。そうは言いつつも、シチュエーションが多少変われば紅生姜について「損をした」と感じる人は意外と少なくない。都内の牛丼店マネージャー・吉川孝明さん(40代)が苦笑する。

「牛丼一杯のテイクアウトなのに、紅生姜と唐辛子を何十袋も鷲掴みにして帰られるお客様は昔からいらっしゃいますね。おそらく、貰えるのなら多めにとか、唐辛子代が浮くとか、そういったお気持ちだとは思いますよ」(吉川さん)

 吉川さんの店では以前「持ち帰り客」が相次いだことから、テイクアウト用のカウンターに置いてある唐辛子や七味、そして箸などについて「おひとりさま一点」の張り紙を出した。それでも、大量の持ち帰り客は後をたたず、結局張り紙は無駄だと感じ、撤去したという。

「過剰にとっていかれては店としては困ります。ですが、必要な分量はお客様によって確かに違う。ですので、大量の持ち帰りを指摘しても無用なトラブルになるだけなんです。正直、生姜や唐辛子をそんなに持っていっても、お客様一人一人にとっては、得も損も微々たるものだと思うんですが。それでも得した、と感じられるのか」(吉川さん)