日本兵の遺骨が「立ったまま」出てきた衝撃…首から下は米軍の直撃弾で吹き飛んだのか

AI要約

硫黄島における日本兵1万人の謎の失踪と出来事を追ったノンフィクションについて話題に。

遺骨収集現場での過酷な状況や強風の中での作業、台風に見舞われた体験などが描かれる。

推薦を受けて再び上陸した主人公が、祖父の戦時中の体験を通じて島民との絆を深める姿も描かれる。

大型で強い台風に見舞われた収集作業や、北上するB29の進路と本土の安全を祈る硫黄島の兵士たちの思いが語られる。

日本兵の遺骨が「立ったまま」出てきた衝撃…首から下は米軍の直撃弾で吹き飛んだのか

 なぜ日本兵1万人が消えたままなのか、硫黄島で何が起きていたのか。

 民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査したノンフィクション『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』が9刷決定と話題だ。

 ふだん本を読まない人にも届き、「イッキ読みした」「熱意に胸打たれた」「泣いた」という読者の声も多く寄せられている。

 ゴーゴー、ボーボーと強風の音が、遺骨収集現場に響き渡っていた。

 「耳の中までじゃりじゃりする。もう嫌だ!」

 自暴自棄になる寸前の、誰かの叫び声が聞こえた。大型の台風21号の接近に伴う強風を浴び続け、団員たちは皆、頭から足のつま先、そして耳の中まで砂ぼこりまみれになっていた。まるで砂漠を彷徨する難民になったような気分だ。

 その中に僕がいた。三浦さんの死去から9ヵ月後の2021年12月4日。政府派遣の遺骨収集団に再び加わった僕は、ほかの団員28人と共に、上陸11日目の朝を迎えていた。そして強風の中、島南部で遺骨を発掘すべく、スコップを振るい続けていた。がむしゃらに。三浦さんの分まで力を尽くそう。そんな思いが、僕にはあった。

 最大の課題である「関係団体による推薦」をどう得たか。今回、推薦してくれたのは、「小笠原村在住硫黄島旧島民の会」だった。事務局長の楠明博さんとは、2年前の収集団で出会って以降も交流が続いていた。僕の祖父が戦時中、父島や母島にいたことから、僕を島民に準ずる者として認めてくれたのだ。その推薦に基づき、僕は収集団の一員となり、二度目の上陸を果たせたのだ。

 そこで人生で始めて「12月の台風」を経験することになったのだ。午前中の作業を終え、宿舎に戻った。スマホで台風の情報を調べた。マリアナ諸島付近で発生した大型で非常に強い台風21号は北上を続け、この日の未明、硫黄島を襲った。就寝中、雨が激しく窓を叩く音で何度も目が覚めた。朝の段階で雨が収まったのは通過したためだ。ただ、強風は続いたものの、危険度は低いという判断から、収集作業は予定通り行われることになったのだ。

 マリアナから硫黄島を通過して本土方面へ。まるで太平洋戦争のB29の進路と同じではないかと思った。どうか本土が無事でありますように、と僕は願った。本土に向かって北上するB29の編隊を見た当時の硫黄島の兵士たちも、同様に願っていたことだろう。