「客に合わせる顔がない」…突然の出荷停止に頭抱える販売店、本社から指示なく「早く情報を」

AI要約

自動車メーカーが型式指定の不正問題で記者会見し謝罪する異例の事態に発展

問題は国土交通省の調査で発覚し、取引先にも影響が及ぶ

出荷停止で販売店や利用者に混乱と不安が広がる状況

 自動車などの量産に必要な「型式指定」に関する不正が相次いだ問題は、新たに書類の改ざんなどが判明した5社のうち、3社のトップが記者会見で謝罪する異例の事態に発展した。出荷の停止に追い込まれた中には人気の車種も含まれており、自動車販売店や利用者から不安の声が上がっている。

 「制度の根底を揺るがすもので、自動車メーカーが絶対にやってはいけないことだと考えている」――。3日、東京都内で開いた記者会見で、トヨタ自動車の豊田章男会長はそう語った。

 不正は国土交通省の指示に基づいて調査を進める中で発覚した。今回の問題に関連するトヨタの取引先は、2次下請けなども含めると1000社以上に及ぶ。豊田会長は「トヨタは完璧な会社ではない。間違いをしたときには一度立ち止まり、現地・現物で確認することで改善する余地がある」とした。

 マツダの毛籠(もろ)勝弘社長も3日、都内で記者会見し、「重く受け止めており、深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 毛籠社長は、出荷停止となった現行の2車種については約3500件の受注があるとして、「(顧客への)説明を尽くしていく」とした。取引先の部品メーカーの損失についても、「当然弊社がカバーしていく」と述べた。

 ホンダの三部(みべ)敏宏社長も同日の記者会見で、「認証制度に関わる試験は安心安全に製品を使う大前提であり、結果を大変重く受け止めている」と述べ、深々と頭を下げた。

 突然の出荷停止に販売店関係者には戸惑いが広がっている。

 「現在、情報を集めている状態だ」。都内にあるトヨタ販売店の男性店長はそう話し、「お客様への対応について本社からの指示がない。不安に思っているお客様に早く説明できないのがもどかしい」と語る。

 都内の別のトヨタ販売店で働く男性は「近々納車を予定しているお客さんには『出荷停止になったので納車できない』と伝えなければならない」と頭を抱えた。

 男性によると、対象車種の一つとなった「ヤリスクロス」は売れ筋のモデル。車検切れのタイミングで新車を購入する客もいるため、代車や車検代を負担する必要が出てくる可能性があるほか、購入がキャンセルされ、在庫を抱えるリスクも考えられるという。