中学受験しなくてもMARCH合格できる!難関大に必須の「学力」の付け方とは?

AI要約

子どもの学力を育むためには、従来の暗記や計算だけでなく、自主性や創造力などの新しい学力も重要である。

現代社会では指示待ちではなく能動的に課題に取り組む力が求められており、学習指導もそれに対応して変化している。

難関大学への合格には、「新しい学力」が必要であり、これらの力を育成するためのアクティブ・ラーニングが重要視されている。

中学受験しなくてもMARCH合格できる!難関大に必須の「学力」の付け方とは?

 どんな子でも、学力は親のかかわり方次第!約25年間にわたって約2000組の親子の家庭環境と進路を見てきた現役小学校教員のヒロユキ先生が、これからの子どもに必要な新しい学力の身につけ方について解説してくれます。*本稿はヒロユキ先生著『中学受験なしで難関大に合格する「新しい学力」の育て方』(青春出版社刊)より一部抜粋・編集したものです。

● 暗記と反復学習が通用するのはMARCHまで

 わが子にはできるだけ高い学力をつけてあげて、できれば「難関大」と呼ばれるような大学に入ってほしい。これは、偽らざる親の率直な希望だと思います。

 では、「難関大」と聞いて、一番に思い浮かぶ大学はどこでしょう? 東京大学や京都大学は誰もが認める難関大です。その他の旧帝大といわれる大学も難関大と言われます。私立なら早稲田大学や慶應義塾大学も難関大ですね。

 難関大の定義はいろいろありますが、旧七帝大や東京工業大学、一橋大学などの国立難関大学と、早慶の二つの私立大学が「難関大」というイメージです。では、これらの大学に合格するには、どのような力を身につけておかなければならないのでしょうか?

 難関大合格に必要なのは、私たち親世代が慣れ親しんだ「暗記・計算・勤勉さ」といった力ではありません。これらの力は、教育の世界では、現在は「知識・技能」と呼ばれ、「従来型の学力」と考えられています。

 もちろん、それらの力も必要ですが、それだけでは合格できないのが難関大の難しさ。難関大の合格に必要になってくるのは、「自主性」や「創造力」「モチベーション」などのペーパーテストでは評価しにくい力だからです。

 これらの力は、心理学では「非認知能力」、教育学では「新しい学力」と呼ばれています。どこかで聞いたことがある言葉ではないでしょうか。

● なぜ「新しい学力」が求められるようになったのか

 現代社会の働き手は、「指示されたことを従順に、勤勉にこなす能力」があるだけでは不十分。これからは「自ら効果的な対策を考え、実行できる能力」が求められます。

 これらは労働環境の変化に起因します。日本経済が右肩上がりだった昭和から平成のはじめまでは、トップが立てた経営戦略や経営目標を指示通りに実行できる人が、社会における「いい人材」でした。そんな当時、就職でもっとも重視されていたのが「学歴」です。

 受験生の数が膨大だったあの時代、受験の目的はふるい落とすことであり、どれだけ多くの知識を持っているかが勝敗を分けました。当時、厳しい受験戦争を勝ち抜いて難関大に進学できたのは、たくさんの知識を要領よく覚え、素早く答えを出す訓練を積み重ねてきた人でした。

 企業が求める「指示されたことを従順に、勤勉にこなす人」と見事に合致していたのです。私たち親世代が慣れ親しんだ「暗記・計算・勤勉さ」といった学力は、経済のグローバル化とIT化以前の社会で必要とされた、「従順な働き手」を支えるための能力だったわけです。

 しかし、今や「指示されたことを効率的にこなす仕事」は、AIやロボットが安価かつ正確に行ってくれます。指示待ちではなく能動的に課題に対処する力や、AIを使いこなして一人で大きな成果を上げたり、何役もこなしたりする力が求められているのです。

 こうした社会の要望に応えるために、文部科学省は大がかりな学習指導要領の改訂を行いました。その目玉が、「アクティブ・ラーニング」です。

 アクティブ・ラーニングにはさまざまな考え方がありますが、簡単にまとめると「子どもたちが中心となって、話し合いや活動を行いながら、課題に対する理解や考えを深めていこうとする学習スタイル」です。そこでは、教師は指示や課題を与えません。

 子ども同士の意見や気づき、活動をつなぎ、それぞれの考えが深まるように促すことに徹します。アクティブ・ラーニングが目指すものは、自ら能動的に課題に対処していける働き手の育成です。

 そして、この「能動的な働き手」を支えるのが、「自主性」「創造性」「モチベーション」といった「新しい学力」です。MARCH以上の「難関大」は、こうした社会の変化にいち早く対応し、入試改革を行ってきました。