セントレアーフィンランド便が4年ぶり復活 欧州路線では初の再開

AI要約

中部空港(愛知県常滑市)で、約4年ぶりにフィンランドを結ぶ国際旅客便が復活した。19年度には週5~7便を運航していたが、コロナ禍で運休していた。

中部空港では国際便の復活が相次いでいるが、復旧はまだ他の国際空港と比べて遅れている。今の便数はピーク時の6割にとどまる。

要因の一つは中部空港で最も多かった中国路線の再開が少ないこと。中国からの需要が戻っていない理由として、観光費用の上昇や中国国内の経済停滞が挙げられる。

セントレアーフィンランド便が4年ぶり復活 欧州路線では初の再開

 中部空港(愛知県常滑市)で、約4年ぶりにフィンランドを結ぶ国際旅客便が復活した。一時は便数ゼロになったコロナ禍の大打撃から、じょじょに盛り返しつつあるが、いまだ国際便は最盛期の6割にとどまる。回復が遅れている背景に、何があるのか。

 5月31日、セントレアで知られる中部空港でヘルシンキ(フィンランド)路線の4年2カ月ぶりの運航再開を祝う式典があった。19年度には週5~7便を運航していたが、コロナ禍で運休していた。

 式典に先立つ会見で、運航するフィンエアーのサカリ・ロム日本支社長は「名古屋は日本のどこへ行くにも便利。ビジネス、観光需要とも大きな可能性があると考えている」と話した。欧州路線での再開は今回のヘルシンキ路線が初めて。フランクフルト、アブダビ、デトロイト路線はまだ戻っていない。当面の運航は週2便で、来年から週3便を計画している。以前の飛行時間は片道9時間半だったが、(戦争により)ロシア上空の飛行を回避しているため同約13時間。航空料金も引き上げられている。売りはヘルシンキと約70都市を結ぶ乗り継ぎの良さだ。同社西日本・中部地区の北川昌彦支店長は「急激な航空需要の高まりから機材、パイロット不足の問題も起きており、コロナ禍前の便数にまで増やせるかはまだ分からない」という。

 中部空港ではこの1年、新型コロナが季節性インフルエンザと同じ「5類」となったのを前後して、国際便の復活が相次いでいるが、ほかの国内の国際空港と比べても回復は遅い。

 今年6月時点で週295便とコロナ禍直前、ピークだった20年1月の6割だ。

■回復遅れ 際立つセントレア

 国土交通省のまとめによると、コロナ禍前の19年冬と比べると、中部空港の運航便数は39%減。一方、成田空港は13%減、関西空港は13%減なので、その遅れが際立っている。

 要因の一つが、中部空港で最も多かった中国路線の再開が少ないことだ。ピーク時は週215便あったが6月現在、この路線は週94便にとどまっている。

 空港会社などによると、理由として、日本での観光費用の高騰で、中国からのインバウンド需要が十分に戻っていないことや、中国国内の経済停滞などが挙げられる。円安やオンライン会議の普及の影響もあるとされる。

 5月17日にあった空港会社の決算発表で、犬塚力社長は、「回復の途上だと思っているが、様々な環境の変化があってなかなか戻らない」と述べた。路線が多い成田や関西の両空港から出発するのでなく、「ここ(中部空港)から出発して海外で乗り換えてもらうよう呼びかけるなど需要を掘り起こしたい」と説明する。