ヘッジファンドが転換社債裁定取引に復帰-発行増が後押し

AI要約

転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行が急増し、転換社債裁定取引が注目を集めている。

株式と転換社債の価格差を利用する戦略がリターンを上げており、企業も参入を検討している。

この戦略に特化したヘッジファンドの成績が好調で、市場の期待が高まっている。

(ブルームバーグ): 満期時に株式に転換できるタイプの債券、転換社債型新株予約権付社債(転換社債、CB)の発行が急増し、金融危機の際に破綻したヘッジファンド戦略の復活を後押ししている。

ナスダック・イーベストメントのデータによると、転換社債とその原資産である株式との間の価格差を利用しようとする、いわゆる転換社債裁定取引は1-3月(第1四半期)に資金を集めた。他の戦略からは数十億ドルが引き揚げられたという。

典型的な取引は、転換社債のロングポジションと原株のショートポジションを組み合わせる。株価が下がればショートポジションから利益がを得られ、株価が一定の水準まで上昇すれば、満期時に債券を株式に転換することで利益が得られる。リファイナンスの懸念で債券価格が急落しない限り、どちらにしても有利な取引だ。

ヘッジファンド・リサーチによると、この戦略は2024年1-4月に4.4%のリターンを上げ、他の相対バリュー戦略を上回った。

企業は今後5年に満期を迎える2000億ドル(約31兆4000億円)以上の転換社債の満期延長を検討している。また、通常の社債よりも低い金利に魅力を感じ、歴史的高値に近い株価に後押しされて、初めて同市場に参入する企業もある。

こうした好条件は、すでにヘッジファンドのパフォーマンスを押し上げている。米国を拠点とし転換社債裁定取引に特化したヘッジファンド、リンデン・アドバイザーズは、年初から4月までに5.8%の利益を上げた。2023年は12%近いプラスリターンだった。

ブルームバーグ・ニュースが確認した文書によると、同じ戦略を専門とするコンテクスト・パートナーズ(運用資産約17億ドル)は5月10日までに6%以上の利益を上げた。

世界最大の上場ヘッジファンド会社マン・グループのアダム・シングルトン最高投資責任者(CIO)によると、同社は「エクスターナル・アルファ」チームを通じてこの戦略へのエクスポージャーを高めている。