日本の誇り、大谷翔平…「神」になった大谷翔平とどうしても「アメリカでの評価」が気になってしまう日本人【大谷翔平の社会学】

AI要約

大谷翔平は日本だけでなくアメリカでも評価され、MLBで活躍することで世界的なスターとなった。

アメリカでの評価が大谷人気を加速させ、メディアでの露出も増加している。

大谷の成功は野球界においてグローバルな影響力を持つことを証明している。

日本の誇り、大谷翔平…「神」になった大谷翔平とどうしても「アメリカでの評価」が気になってしまう日本人【大谷翔平の社会学】

今やその名前を知らない人はほとんどいない、日本中…いや全米も熱中するアスリート・大谷翔平。『大谷翔平の社会学』(扶桑社)の著者・内野宗治氏によると、大谷の人気にさらに拍車がかかったのはアメリカでプレーするようになってからと言います。同書から一部抜粋し、大谷がメディアで報道されるたびに「神」となったプロセスについて論じます。

大谷は日本にいる頃からスーパースターではあったが、そのステイタスがさらに一段も二段も高まったのはやはり、アメリカでプレーするようになってからだ。

大谷が日本だけでなく世界で、というかアメリカで認められたという事実は大きい。極東の島国に暮らす「辺境人」である僕ら日本人は、昔から中国や欧米などその時々で「世界の中心」だった場所の文化、習慣を取り入れながら生活してきた。常に外来の文化や習慣を参照し、それを独自にカスタマイズしてきた僕ら日本人は、自分たち自身でこしらえた価値判断のモノサシに絶対的な自信を持てず、常に「他者の評価」を気にしてしまうという性がある。今日では、とくに欧米という「世界の中心」の評価を。

大谷が23歳で渡米し、MLBで活躍してアメリカで評価されて初めて、僕ら日本人は「大谷は本当にすごいのだ!」という確信を得た。日本メディアの報道を見ると、たとえば「MLB公式サイトが大谷を特集」「ニューヨーク・タイムズの記者が大谷を絶賛」「対戦相手の監督が大谷に脱帽」といった類いの見出しで溢れている。「大谷はアメリカでこれだけ注目されていますよ!」「アメリカでも高く評価されていますよ!」ということを伝えているのである。大事なのは自分たち日本人の評価ではなく、アメリカ人がどう評価しているのか、なのだ。もっとも、アメリカ人のコメントにはお世辞やリップサービスが多分に含まれている場合もあるので、多少割り引く必要はあるのだが……。

とはいえ、大谷フィーバーは何も日本だけでのことではなく、アメリカでも今や大谷は押しも押されもせぬ「MLBの顔」であることは確かだ。

2022年、ニューヨークの中心地であるタイムズ・スクエアには、大谷がパッケージの表紙を飾った野球ゲーム「MLB THE SHOW」の巨大広告が登場。大谷は『GQ』や『TIME』といった名だたる雑誌の表紙を飾り、2021年にはTIMEが選ぶ「世界で最も影響力のある100人」にも名を連ねた。2023年のWBCに出場したチェコ代表の選手たちは大会前に「対戦を楽しみにしている選手は誰か?」と聞かれ、全員が“Shohei Ohtani”と答えた。同年のMLBオールスターゲームのファン投票で、大谷はリーグ最多の得票数だった(日本からの投票も含まれているが)。そして同年12月、大谷はロサンゼルス・ドジャースと10年総額7億ドル(約1,015億円)という「スポーツ史上最高額」で契約を結んだ。

野球はサッカーほど世界的に普及しているスポーツではなく、野球が盛んな地域は主に北米と中南米の一部、そして東アジアに限定される。しかし、その限られた野球界において大谷は、今や世界の誰もが知る正真正銘のグローバルスターなのだ。