万博、大屋根再活用は2割か 無償提供なら協会側の負担増の可能性

AI要約

日本国際博覧会協会は、2025年大阪・関西万博の会場の大屋根の再活用について、ほとんどがほぼ無償での提供を前提としたと発表した。

大屋根は世界最大の木造建築物となる予定であり、その再活用に関心を持つ自治体や企業からの応募があったが、実現可能性は約2割とされた。

その他、海外パビリオンの準備遅れにより最大76億円の追加負担が生じる見通しで、協会は対応策を検討している。

万博、大屋根再活用は2割か 無償提供なら協会側の負担増の可能性

2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は27日、会場の大屋根(リング)について、閉幕後に再活用できるのは2割にとどまるとの見通しを示した。活用に関心を持つ自治体などから聞き取った結果で、多くは「ほぼ無償」での提供を前提とした。全て解体する場合に比べて協会に追加負担が生じる可能性がある。一方、参加国の簡易型パビリオンへの移行が進まないことから、最大76億円の追加負担が生じる可能性があることも判明した。

リングは、1周約2キロ、高さ最大約20メートルで、世界最大の木造建築物となる。協会はこの日、9月としていた完成時期が8月末に早まると明らかにした。

建設費約350億円をかけて閉幕後に撤去する計画に批判が相次ぎ、協会は現地保存を含めた活用方法を公募。自治体や建設会社、家具メーカーなどから応募があり、13団体から入札額や活用の実現可能性などを聞き取った。27日に開いた理事会で結果が報告され、リングに使う木材約2万7千立方メートルのうち、需要が見込めるのは約2割の6千立方メートルと判明した。協会は実現性がありそうな活用方法として「自転車道」などを挙げた。

木材については「ほぼ無料でないと引き取れない」との声が多く、協会の石毛博行事務総長は理事会後の会見で、万博が盛り上がることで「リングの価値が上がる可能性」に期待した。一方、協会は現在、全て解体することを前提に工事を契約しており、再活用の場合にはより丁寧な作業が必要となることから、協会に追加負担が生じる可能性がある。

また、海外パビリオンの準備遅れに関して、工期短縮のために協会が提案する簡易型の「タイプX」への移行が進まず、建設費が回収できないことなどから、最大76億円の追加負担が生じる見通しであることが分かった。協会は130億円の予備費から充当する方針。協会会長を務める十倉雅和・経団連会長は会見で「建設費の圧縮に務めており、2350億円の会場建設費の中できちっとやれる」と強調した。(井上浩平)