雨でクルマが滑りやすい! 悪天候は「FR」と「FF」どっちが得意? 「4WDがベスト」とも言い切れないワケとは?

AI要約

道路が雨で濡れるとブレーキの効きが悪くなるため、梅雨や台風シーズンには安全運転が重要だ。

異なる駆動方式によってクルマの挙動が変わる。FFは雨天時に強いとされる一方、4WDはトラクションが得やすいが制動距離が長くなる傾向がある。

タイヤの制動力は雨天時には晴天時の約1.5倍になる。タイヤの経年劣化や硬化も制動距離に影響を与える。

雨でクルマが滑りやすい! 悪天候は「FR」と「FF」どっちが得意? 「4WDがベスト」とも言い切れないワケとは?

 道路が雨で濡れるとブレーキの効きが悪くなるといわれており、梅雨や台風シーズンを迎え雨が多くなる時期は、より一層の安全運転が求められます。

 

 路面と接しているタイヤの状態や駆動方式によってもクルマの挙動が変わってくるのですが、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。

 雨天(悪天候)時の事故の発生件数が多いのは想像に難くないでしょう。首都高速道路の調べによると、青天時の事故発生率を「1」とした場合、雨天時は約4倍も事故率がアップするのです。

 近年はSUV全盛で、以前より4WDも増えています。4輪に駆動力が分配されるので雨でも安全性が高いと思われがちですが、一般道においては必ずしも安全とは言えないようです。

 では、一般的なFF、FR、4WDといった駆動方式で運転特性の違いはあるのでしょうか。また悪天候に強い駆動方式などはあるのでしょうか。

 一般的に、後輪を駆動するFRより、重量物がすべて前方に集まっているFFのほうがトラクション(けん引力)がかかりやすいため、雨天時に強いと言われています。

 そして、4WDは4輪を駆動させるのでその分トラクションは得やすいのですが、その反面、複雑な機構によって部品点数が多く重量も増えるため、曲がりにくく制動距離も長くなる傾向があります。

 この傾向はグリップ力が下がる雨天はさらに顕著になるとされており、特にFRは操舵を兼ねるタイヤとパワーを伝えるタイヤが違うため、通常時は自然な運転感覚を掴みやすいのですが、ハンドルの切りかたによってはリアタイヤが滑りやすくなります。

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 なお、現在では駆動輪の制御技術などが発達し、駆動方式に関係なく横滑りなどの車体の姿勢変化を抑制するシステムも採用されています。

 しかし、雨の日ではこうした機能への過信は禁物です。

 では、タイヤの制動力は天候によってどれだけ変わるのでしょうか。タイヤ専門店スタッフS氏に聞いてみました。

「同じ銘柄のタイヤで同程度の空気圧の場合、雨天時の制動距離は晴天時の約1.5倍と言われています。

 さらに雨天は視界が悪く、危険の察知も遅れ気味です。また気温の低下に伴いタイヤの内圧(空気圧)も下がりますが、それ以上に問題なのが経年劣化です。

 なかには数年も同じタイヤを履き続けている人がいるかもしれませんが、溝が残っていたとしてもゴムが硬化している可能性が高く、雨天時に止まれない原因のひとつになっています」