新札導入の対応はお早めに!レジや券売機導入で活用すべき「IT導入補助金」とは

AI要約

2024年7月3日より、新札が発行され、IT導入補助金を活用して新しい機器を導入する事業者が増えることが予想される。

IT導入補助金は中小企業・小規模事業者向けの補助金制度であり、インボイス枠を活用することで、レジや券売機の導入に補助を受けることができる。

補助金申請には注意点があり、事前の手続きや審査が必要であることに留意する必要がある。

新札導入の対応はお早めに!レジや券売機導入で活用すべき「IT導入補助金」とは

2024年7月3日より、新札が発行される。

レジや券売機などのシステムアップデートや、新しい機械への切り替えを余儀なくされる事業者の方も多いだろう。そうした際に活用できる「IT導入補助金」をご存知だろうか?

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者を対象に、業務効率化やDX等に向けた ITツールの導入を支援する補助金制度だ。

IT導入補助金は補助対象により複数枠用意されているが、レジや券売機等の購入で利用できる「インボイス枠(インボイス対応類型)」について紹介しよう。

●IT導入補助金「インボイス枠(インボイス対応類型)」の概要

【補助対象者】

中小企業・小規模事業者(個人事業主)。業種ごとに資本金・従業員数などの条件あり

【補助率/補助額について】

<インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト>

補助額 : 50万円以下(※1)/補助率 : 3/4以内、4/5以内(※2)

補助額 : 50万円超~350万円以下(※3※4)/補助率 : 2/3以内

※1 会計・受発注・決済のうち1機能以上を有すること

※2 中小企業は3/4、小規模事業者は4/5

※3 補助額のうち、50万円以下については補助率3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超については補助率2/3

※4 会計・受発注・決済のうち2機能以上を有すること

<PC・タブレット等>

補助額 : 10万円以下/補助率 : 1/2以内

<レジ・券売機等>

補助額 : 20万円以下/補助率 : 1/2以内

【2024年度交付申請締切】

<8次締切>7月3日(水)17:00、<9次締切>7月19日(金)17:00、<10次締切>8月2日(金)17:00、<11次締切>8月23日(金)17:00

【申請から補助金交付の流れ】

<交付申請の準備>専用アカウントの取得、SECURITY ACTIONの宣言など

<IT導入支援事業者・ITツールの選定>見積もり取得依頼、交付申請の事業計画策定など

<交付申請>申請マイページ開設、交付申請情報の入力、SMS認証・提出

<交付決定後>ITツールの発注・契約・支払い

<事業実績報告>ITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことが分かる証憑を提出

<補助金交付>

<事業実施効果報告>

適用条件に当てはまり、補助金が支給されれば少ない経費で新札導入に対応することができるが、補助金申請にあたって注意点はないのだろうか。小林拓未税理士に聞いた。

●申請前の事前手続きが必要。交付決定前にツールを買うと対象外に

ーー新札対応のためにIT導入補助金を利用する際の注意点をお教えください。

「IT導入補助金申請にあたっては審査が行われますので、申請すれば必ずもらえるわけではないことに注意が必要です。

そのほか、いくつか注意点を挙げてご紹介します。

(1)申請前に「GビズIDプライム」のアカウント取得と「SECURITY ACTION」宣言の実施が必要。GビズIDプライムは、アカウント取得に2週間ほどかかる

(2)通常枠は「みらデジ」というwebサイトでの経営チェックが必要

(3)交付決定前にITツールの発注や契約、支払いをすると補助の対象外

(4)ソフトウエアを購入する必要があり、汎用プロセスのみやハードウェアのみの購入による申請は補助の対象外となる

(5)自社の業務にカスタマイズしたシステムは補助の対象外

(6)補助金は申請して、採択された後に入金されるため、まずは自己資金や借入でITツールを購入する必要がある(リースは補助の対象外)

(7)審査が行われるため、しっかりとした事業計画書を作成する必要がある

(8)IT導入補助金申請の都合上、ITツールの説明が必要になるため、IT導入支援事業者と連帯して申請を行う必要があるため、本補助金を申請した経験のあるIT導入支援事業者が望ましい

まずは『交付申請の手引き』をよく読んで申請に挑むようにしましょう」

●補助金の申請や仕訳の際に、税理士が頼りになる

ーー申請から補助金が交付されるまでには多くの手続きが生じますが、税理士に依頼するとどのようなサポートを受けられますか。

「申請にあたっては、審査のため事業計画書を作成しますが、補助金受領後は数年にわたり、事業実績効果報告を行わなければなりません。

そのため実効性を考慮した事業計画書を作成する必要があり、税理士に依頼するとそのサポートが受けられます」

ーー補助金の受け取り後、勘定科目や仕訳はどのようにすればいいのでしょうか。

「ソフト20万円(補助率3/4で15万円)、POSレジ20万円(補助率1/2で補助金10万円)支払いは9月、補助金交付は11月の場合」という前提でお教えください。

「仕訳は以下のとおりです。

<9月> 

ソフトウエア20万円/現金預金20万円

器具備品20万円/現金預金20万円

<11月> 

現金預金15万円/国庫補助金収入15万円※

現金預金10万円/国庫補助金収入10万円※

国庫補助金収入は金額によっては雑収入でもかまいません。なおIT導入補助金は、圧縮記帳の対象になります」

参考:IT導入補助金2024(https://it-shien.smrj.go.jp/)

【取材協力税理士】

小林 拓未(こばやし たくみ)税理士

2017年東京都中央区にて開業。「専門家として、長期的な視点で顧問先の発展に尽力する」ことを経営理念に掲げる。2018年から社会保険労務士業務開始。横浜支店と葛飾支店、津田沼支店を開設し、業務拡大中。

事務所名 :税理士法人石川小林

事務所URL:https://www.ktaxac.com