高速道路にある「右ルート・左ルート」! 車線を増やすんじゃなくて「別ルート」になった理由とは?

AI要約

日本の高速道路の歴史と交通量増加の影響について述べられている。

山間部の拡幅工事やトンネルの新設による交通の効率化について言及されている。

右ルートと左ルートの選択肢が生まれることで、車線移行や速度維持について考察されている。

高速道路にある「右ルート・左ルート」! 車線を増やすんじゃなくて「別ルート」になった理由とは?

 日本の高速道路のはじまりは、1957年(昭和32年)の中央道着工による。

 トヨタ・クラウンの誕生は2年前の1955年(昭和30年)で、国内はまだ乗用車の普及が途に就いたばかりだ。商用車が暮らしを支えている時代だった。約10年後の1966年(昭和41年)に日産サニーとトヨタ・カローラが誕生したときの国内自動車保有台数は、725万台ほど(二輪車を除く)だった。そして、2022年の数字では、7830万台(二輪車を除く)に達する。10倍以上に保有台数が増大した。

 当然、それに伴って交通量も増える。60年以上前に構想された高速道路では到底容量が足りない。事故などがなくても、自然渋滞と呼ばれるクルマの集中で流れも悪くなる。そこで、今日なお拡幅工事が継続される状況だ。

 比較的高低差の少ない地域であれば、土地さえ確保できれば拡幅工事はできるだろう。一方、人口増加による街の発展や住宅地の広がり、あるいは山間部などでトンネルの多い区間などは、拡幅工事も容易ではない。

 そのなか、山間部の拡幅工事に際し、トンネル自体の拡幅は困難なため、新たなトンネルを掘り、車線の数を増やす手段が採られた。この手法であれば、新設工事期間中もこれまでの道を使って従来どおり上りと下りの交通を確保できる。そのうえで、これまで上り車線と下り車線にわかれていた区間を、上りまたは下りのどちらかにまとめ、新設の拡幅されたトンネル区間を、反対の上りまたは下り車線に用いれば、車線の拡幅と、交通の移行も、利用者の不便をもたらさずに行える。

 こうして、上りまたは下りに従来の車線を活用した区間が、右ルートと左ルートという選択肢をもたらすことになった。

 交通の基本はキープレフトである。また、最高時速をより制限されるトラックやバスなどは、左端の走行車線を基本的には走ることとなり、おのずと左ルートを走り続ける傾向になる。

 それに対し、乗用車はより身軽に速度調整ができ、トラックやバスなどを追い越して走る機会も多く、右ルートを選んだほうが速度を維持しやすいこともあるだろう。

 とはいえ、進行方向を改めた車線は、それまでと逆走することになるため、やや違和感を覚えることがあるかもしれない。それも時間の経過とともに、車線の引き直しや、路面の改修が進むことで、右ルートと左ルートの差を覚えず走行できるような整備が行われているはずだ。

 右ルート左ルートの選択とは別に、高速道路全体の交通量を増やす工事が進むのが、新東名高速道路である。上りと下りをあわせ、路線をひとつ増やす工事だ。これも、東名高速道路からの分岐では、右へ行くか左を辿るか、悩むことがあるかもしれない。