インバウンド恩恵は全国に行き渡らず、訪日客消費額は東京と大阪で全体の6割…「観光白書」

AI要約

政府は2024年版観光白書を閣議決定し、訪日需要の回復が3大都市圏に集中する課題を指摘した。

外国人宿泊者数は都市圏では増加しているが、地方部では減少しており、訪日客の消費額も都市圏に偏在している現状が明らかにされた。

白書では訪日クルーズ船や地方空港の回復遅れが地方に波及する障害として挙げられ、受け入れ面の環境整備が必要とされている。

 政府は18日、2024年版観光白書を閣議決定した。訪日需要の回復が東京、大阪、名古屋の3大都市圏に集中しているため、「好調なインバウンド需要をいかに地方部に波及させるかが喫緊の課題だ」と指摘した。

 23年の外国人延べ宿泊者数は、コロナ禍前の19年に比べ、3大都市圏では14%増加したが、地方部では26%減と回復が遅れている。23年4~12月の訪日客消費額は東京都(1兆1268億円)と大阪府(6306億円)で全体の6割を占めており、訪日客急増の恩恵が全国に行き渡っていない。

 白書では、地方に寄港する訪日クルーズ船や地方空港の国際線便数の回復が遅れていることが一因だと分析。交通サービスの確保・充実など、受け入れ面の環境整備を進める必要があると指摘した。