売れ筋コスメの「国産回帰」が顕著に 今も韓国メークが流行っているのに、なぜ?

AI要約

美容系総合ポータルサイト「@cosme」が発表した2024上半期新作ベストコスメの総合大賞はアテニアのクレンジングオイル。リニューアル後も高い人気を維持し、国産ブランドがランキングを独占する傾向が見られる。

国産ブランドのコスメが消費者の注目を集める中、外資系コスメが値上げを続ける状況。使いやすいパッケージや容器も重視され、国産ブランドに興味を持つ人が増加している。

日本のコスメ業界では韓国メークのトレンドも取り入れられ、国産ブランドの再評価が進んでいる。今後、国産ブランドのコスメがどれだけ支持を伸ばすか注目されている。

売れ筋コスメの「国産回帰」が顕著に 今も韓国メークが流行っているのに、なぜ?

 美容系総合ポータルサイト「@cosme」を運営するアイスタイル(東京都港区)は6月6日、「@cosmeベストコスメアワード2024 上半期新作ベストコスメ」を発表した。同アワードは、@cosmeに寄せられた口コミ投稿をベースに、消費者が実際に支持している商品をランキング化したものだ。そのうち「上半期新作ベストコスメ」は、2023年11月1日~2024年4月30日に発売された新商品が対象となっている。

 総合大賞を獲得したのは、アテニア(横浜市)のクレンジングオイル「スキンクリア クレンズ オイル アロマタイプ」(1980円)だった。2016年に発売された同商品は、メークや日焼け止めをきちんと落とす機能性の高さと、とろみのある質感や柑橘系の香りといった使い心地の良さから人気となった。

 昨年11月にはリニューアルを実施し、肌のごわつきを解消する成分を追加。併せて、110円の値上げを実施した。

 商品によってはリニューアルに失敗し、売り上げが悪化するケースもある。しかし、同商品はリニューアル後の売り上げがリニューアル前比150%にアップし、リピート率は36%を記録した。@cosmeで販売する全商品のリピート率が平均20%であるのに対し、リニューアル後も高い人気を維持。累計販売本数は1900万本(2024年5月15日時点)を突破している。

 2位にはコーセーが展開するコスメブランド「コスメデコルテ」の定番商品「ルース パウダー」(6050円)がランクイン。メークの仕上げに使うフェイスパウダーとして、人気の高い商品だ。

 3位はロージーローザ「マルチファンデパフ 2P」、4位はKANEBO「ルージュスターヴァイブラント」、5位はルルルン「ルルルン ハイドラ EX マスク」となった。

 トップ10の商品をメーカー所在地別に見ると、ある傾向が見えてくる。10商品のうち、9商品が国産ブランドなのだ。アイスタイルは2017年から上半期ベストコスメアワードを発表しているが、「今回ほど国産ブランドがランクインした年はなかった」(アイスタイル リサーチプランナー)という。

 国産ブランドがランキングをほぼ独占した背景に「値上げ」が挙げられる。原材料の価格高騰や円安による輸入コストの増加により、ディオールやシャネルといった外資系ブランドのコスメが相次いで値上げを実施した。@cosmeに寄せられた口コミでも、「値上げする」というワードの出現率が昨対比2.1倍と大きく増加したという。

 値上げが続く外資系コスメに対し、手が届きやすい価格と価格以上の質の良さで、国産ブランドのコスメが消費者の注目を集めたようだ。アイスタイルが@cosmeユーザーを対象に実施した調査では、59.4%が「日本の(国産)ブランドに興味がある」と回答。近年人気が高い韓国ブランドと比較すると約2倍、欧米ブランド比では約4倍となった。

 国産ブランドに対しては、コスメそのものだけでなく使いやすいパッケージや容器を高く評価する声も寄せられているという。「例えば、総合大賞を獲得したスキンクリア クレンズ オイル アロマタイプには、『ポンプが押しやすい』などクレンジング機能や使い心地以外の口コミがありました」(アイスタイル リサーチプランナー)

 また、ランキング10位のケイト「ポッピングシルエットシャドウ」は、ほとんどのアイシャドーにある締め色(濃い目の色)がない。これは韓国発のトレンドメーク「ミュートメイク」を意識した配色であり、消費者からは「国産ブランドからこういうアイシャドーが出るのを待っていた」「国産ブランドで韓国メークができる」といった声が聞かれた。

 これまで韓国コスメの台頭や欧州系コスメのブランド力に、押され気味だった国産ブランドのコスメ。消費者からの再評価を受けて、どこまで支持を伸ばせるか注目だ。