# 一人称複数 2024.08.05 鴻巣友季子の文学潮流(第16回) 試みに満ちた「私たち小説」の収穫 朝比奈秋、ジュリー・オオツカ、小林エリカを読む 今回の芥川賞の一つは、朝比奈秋の「サンショウウオの四十九日」(「新潮」5月号、単行本・新潮社)に決まった。現役の医師ということでも注目されているようだが、作家としての腕力が飛びぬけている。「塩の道」(『私の盲端』〈朝日新聞出版〉収録)で林芙美子賞を受けてデビューし、『植物少女』で三島賞、『あ