オリックス低迷の一因 今季未勝利の山下舜平大 誤算と不振のナゾに迫る~野田浩司氏の視点

AI要約

山下舜平投手が昨年の好調から一転して未勝利に苦しむ理由として、コンディション不良が指摘されている。

体のバランスの崩れが原因で、ウエートルームでの鍛練が過剰に行われていた可能性がある。

オリックスの投手陣全体にコンディション不良の波が押し寄せており、打撃陣の踏ん張りが求められている状況。

 昨年オリックスの開幕投手を務め、9勝3敗で新人王を獲得し、ローテの軸に期待された山下舜平大投手(21)が今季は依然未勝利、出場選手登録を抹消されたままになっている。コンディション不良の原因は何か。デイリースポーツウェブ評論家の野田浩司氏は「体のバランスの崩れ」を指摘した。

 今シーズンの山下はとにかくコントロールが悪かった。一体どうしたの?と思うぐらい、ひどかった。結局3試合に先発(0勝2敗、防御率6・43)しただけで抹消されましたからね。

 キャンプや侍ジャパンの練習試合では悪くなかったのに、DeNAとのオープン戦は良くなかった。開幕も2カード目(西武戦)からの登板だったし。どこかで、何かがおかしくなったということでしょう。

 心配なのは登板予定とされていた先の西武戦(5月24~26日)を回避したこと。“総合的に判断して”ということのようだけど、どこも悪くなければ投げているはずですからね。(4月20日の登録抹消後)ファームではいい感じで投げていただけに気になるところ。

 原因がケガなのか、調整の狂いなのか分からないが、いずれにせよコンディションが整っていないということ。僕はこのコンディション不良を招く要因のひとつに「体のバランスの崩れ」があると考えます。

 これは本当に繊細で、微妙なズレから生まれることもあるんです。足の指に小さなマメができただけで投球のバランスを崩し、それが故障につながることもありますからね。

 山下の場合は、より体を大きく強くしていく段階で起きた「バランスの崩れ」ではないかと推測できる。

 彼は人一倍ストイックですからね。ウエートルームにこもりっきりで体を鍛えるような練習の虫だけに、成長の過程でアンバランスな状態に陥るのかもしれない。

 190センチで100キロという恵まれた体。投げ方や体の使い方、球質のどれをとっても“本物”であるのは間違いないですよ。でもまだ今年で22歳。大学でいうと4年生。体が十分に出来上がっていないのも確かでしょう。

 バランスが悪いということは何かがかみ合っていないということ。しかし、その何かは本人と周りの人間にしか分からない。だから復帰がいつになるのか、こちらも予測できない。

 しかし、この山下や故障中の宮城だけでなく、今年のオリックスには投手陣全体にコンディション不良という波が押し寄せている。

 山本由伸や山崎福也の2人が抜けて、ローテを再構築しないといけないのは最初から分かっていたことだが、宇田川や颯一郎(山崎)、平野、小木田ら強力リリーフ陣の“大量離脱”はさすがに予測できなかった。

 「質」の低下を豊富な「量」で補うのがオリックスの強みだと思っていたんですけどね。その「量」が大きく不足している状態。厳しい状況になっているが、先発とリリーフ両方の顔ぶれがそろうまでは、打撃陣に踏ん張ってもらうしかないでしょう。

 首位を見上げれば遙か彼方。あまり先を見ずに戦ったほうがいい。ロッテのように「一番、一番」で大型連勝というのもありますからね。