郷ひろみとブレイキンを踊ったユース五輪金メダリストは「図工」の先生になった…RAMさんが見てきた風景

AI要約

ブレイキン(ブレイクダンス)がパリ五輪で初採用され、日本代表が出そろう。河合来夢さん(ダンサーネーム・RAM)の学校での図工授業や、過去のユースオリンピックでの金メダル獲得などが紹介されている。

RAMさんが初めての授業を行い、子どもたちと一緒に葉っぱを使った図工作品を作る様子や、アルゼンチンでのユースオリンピックでの金メダル獲得のエピソードが描かれている。

大会前に右肩を脱臼した状態で臨んだRAMさんの決勝戦や感想、大会での2冠達成の喜びが伝えられている。

 今夏のパリ五輪で初採用される「ブレイキン」(ブレイクダンス)。6月には初めてのオリンピック日本代表が出そろう。

 この春、ブレイキン国内トップ選手の河合来夢(らむ)さん(23)(ダンサーネーム・RAM)は大学を卒業し、横浜市の非常勤講師として小学校の教壇に立ち始めた。「専科の担当です。教科は……体育っぽく見えるでしょう? でも、まさかの図工なんです」

 初めて一人で授業を行ったのは5月の大型連休明けだった。3年生の学級で、テーマは「お気に入りの葉」。「校内で拾った葉っぱを子どもたちが紙に貼り、その紙の余白に、絵の具で色々な模様や絵を描くんです」

 「採用段階で、基本的にどの教科もできますって話していましたが、教科決定の連絡をもらった時に『図工かあ、できるかな?』って思いました。初めての授業、めちゃくちゃ緊張しましたよ。でも活発な子が多くて、素直な反応がかえってきた。とてもやりやすかったです」

 今から5年半前の2018年10月、神奈川県立百合丘高校2年生だったRAMさんは地球の反対側、アルゼンチンのブエノスアイレスにいた。15~18歳が対象の第3回夏季ユースオリンピック。この大会から新たに採用された競技、ブレイキンの日本代表として、女子個人と混合団体で金メダルの「2冠」を達成し、表彰台の真ん中に立ったのだ。

 大会1か月前の練習中に右肩を脱臼していた。痛くて腕が上がらない。けがが完全に治癒しないまま臨んだ個人決勝、カナダの選手との対戦でRAMさんは、患部をテープで固定して踊った。トップロックと呼ばれる導入部では独創的でコミカルな踊り、そしてパワームーブと呼ばれる見せ場では、痛むはずの右手で全体重を支えるアクロバティックな技などを次々と繰り出す。

 全力のダンスを終え、相手選手と抱き合った後、フロアに膝をついてしゃがみこんだ。「ムーブ数も多かったのであんまり覚えていないんです。でも自分のダンスを最後までやり切ろう、優勝してもしなくてもいいや、という気持ちだった。(優勝が)決まって、うれしいよりも、とにかくほっとしたことを覚えています」