【沢木敬介】“超速ラグビー”成熟の鍵は「操ること」エディー日本初陣のイングランド戦を分析

AI要約

日本はイングランドに敗れ、新体制の初戦で苦戦した。

日本の成熟したスタイルには"超速"が重要であり、相手をコントロールすることが鍵となる。

"超速"への意識は80分間で見られ、選手と首脳陣が目指すスタイルへの自信と課題が明確になった。

【沢木敬介】“超速ラグビー”成熟の鍵は「操ること」エディー日本初陣のイングランド戦を分析

<ラグビーテストマッチ・リポビタンDチャレンジカップ2024:日本17-52イングランド>◇22日◇東京・国立競技場◇観衆4万4029人

 日本(世界ランク12位)が新体制初戦で完敗した。イングランド(同5位)に17-52で屈し、通算12戦全敗。9年ぶり指揮のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)は、旗印の“超速ラグビー”に一定の手応えを示した。

 目標は27年W杯オーストラリア大会の4強。リーグワンで横浜キヤノンイーグルスを2季連続のプレーオフに導いた沢木敬介監督(49)が“超速ラグビー”成熟への鍵を分析した。

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 新たな日本のスタイルの成熟へ、鍵は“超速”を操ることだ。前半1分、マイボールの左ラインアウトは、複雑な動きを使わずにスピードで確保。BKへと展開し、相手の反則でPGを得た。結果は3点の先制。このように“超速”の結末が「得点」なら一番いい。

 「得点」の次に目指すのは「自分たちでコントロールした結末」だ。一例が前半17分。中盤でSH斎藤直人が相手防御裏の左のスペースへ蹴った。だが、わずかにタッチラインを切れず、イングランドのカウンターを許した。思い描いた通りに味方を前進させ、1つの攻防を終わらせられるか。その差は大きい。“超速”で攻め、後ろへと戻される結末では消耗が激しくなる。

 F1に例えれば車のスピードは土台になる。日本に必要な部分だ。その上で“超速”な車を操るドライバーが優秀でなければ事故、ラグビーでいうミスを起こす。いくら車が速くても、カーブを曲がれなければ成功はない。トレーニングで土台を築きながら、得たスピードをコントロールする視野、技術も必要になる。

 80分間で“超速”への意識は散見できた。ラインアウトも準備時点からの速さで、ボールを確保していた。元南アフリカ代表の名ロックだったマットフィールド氏をテクニカルアドバイザーで招き、落とし込んだ成果が出ていたと思う。3年後のW杯まで時間はある。選手、首脳陣が目指すスタイルへ、自信と課題が明確になったはずだ。