楽天・辰己涼介 入念な準備が生み出す好プレー/守備職人のプライド

AI要約

3年連続でゴールデングラブ賞を受賞した守備の名手が、雨の中でも圧倒的なスーパープレーを魅せる。

守備範囲の広さや強肩、データ分析を駆使して安定感抜群の守備を続ける中堅手。

首脳陣も高い評価を与え、チームに安心感を与える辰己涼介の存在は不可欠だ。

楽天・辰己涼介 入念な準備が生み出す好プレー/守備職人のプライド

 4月16日のオリックス戦(楽天モバイル)。2点リードで迎えた3回の守備だ。二死走者なしから、セデーニョが放った大飛球は中堅へ飛んだ。辰己涼介は中堅フェンスを直撃しそうな大飛球を、左手を目いっぱいに伸ばしてキャッチした。フェンスにぶつかり、最後はクルリと一回転。それでもガッチリつかんだ白球は、離さなかった。

 3年連続でゴールデングラブ賞を受賞した守備の名手。楽天ファンにとって、もはやおなじみのスーパープレーにも思えるが、拍手が鳴りやまなかった。当日はあいにくの雨模様。芝は滑りやすく、上空は厚い雲に覆われ、視界が良いとは言えない状況だった。そのプレーの価値を理解していたからこそ、観衆も惜しみなくたたえた。試合の流れを相手に渡すことなく、6対2の勝利に貢献した。

 守備範囲の広さは球界でも随一。自慢の俊足に加えて、遠投は120メートル超の強肩の持ち主。その身体能力をフルに発揮すべく、試合前練習やイニング間のグラウンド確認など準備も入念に行う。さらに相手打者と味方の投手の相性などのデータも考慮。最適だと思うポジションを取った上で、打球の方向や角度を予想。打球の落下地点を「予測して動く」から、安定感抜群の守備を披露し続けている。

 首脳陣も「長打を覚悟するような打球でも、辰己なら捕ってくれると思える。投手陣にも安心感を与えている」と高い評価を与えている。圧倒的な存在感を放つ中堅手が、自慢の堅守でもチームを引っ張る。

写真=BBM