【浦和×神戸戦】勝ち切れない浦和レッズ「上位進出への課題」(2)ヘグモ監督が理想とする攻撃の形が出た「中島の同点弾」とサイドからのボール「改善点」

AI要約

浦和と神戸の引き分け試合を振り返る。

浦和の攻撃の流れと中島の同点ゴールの分析。

浦和の課題と改善点について。

【浦和×神戸戦】勝ち切れない浦和レッズ「上位進出への課題」(2)ヘグモ監督が理想とする攻撃の形が出た「中島の同点弾」とサイドからのボール「改善点」

 明治安田J1リーグ第17節、浦和レッズ(以後、浦和)対ヴィッセル神戸(以後、神戸)戦が埼玉スタジアム2002で行われた。

 試合は、1-1の引き分けに終わり、両チームともに勝ち点1を分け合った。

 浦和のフォーメーションは「4-3-3」の中盤が逆三角形で、前節の町田戦と同じメンバーで臨んだ。

 一方の神戸も「4-3-3」の同じフォーメーションで組んできて、前節の東京ヴェルディ戦から3人が変更に。佐々木大樹、井出遥也、初瀬亮がスタメンで使われた。

 前半で解説した神戸の先制ゴールに続いて、後半でも得点に絡むシーンを中心に、試合を分析していこう。

 61分に浦和が同点ゴールを決める。中島翔哉のミドルシュートが決まるのだが、なぜ中島はフリーになれていたのかがポイントになる。

 浦和の攻撃面でのいい点が、ここには集約されている。神戸の守備は意思統一がされている。浦和の選手が走り出した瞬間、同時に全員が浦和の選手についていきながら自陣に戻っている。

 実は、意思統一された守備が、ここでは皮肉にもアダになっている。

 オラ・ソルバッケンがサイドでボールを持ってピッチの中にドリブルで切り込んでくる。ソルバッケンにパスを出した石原広教は、ものすごい推進力で駆け上がり、神戸の選手をタッチライン沿いに連れていく。

 さらに、石原にパスを出した伊藤敦樹が神戸の選手を連れて全力でピッチ中央に駆け上がる。またチアゴ・サンタナは神戸の2人の選手を引き連れてペナルティエリアの奥に侵入する。これだけの神戸の選手を、浦和のそれぞれの選手が引き連れているので、ソルバッケンがカットインしてピッチの中に入ってこられたのだ。

 そして、フリーで中島がバイタリエリア(DFラインとMFラインの間)に入っていけて、シュートを打つことができたのである。

 この攻撃の流れが、ペア・マティアス・ヘグモ監督が理想とした攻撃の形であろう。

 浦和の選手の動き出しが良すぎたため、神戸の選手は危機感を感じで最終ラインに戻ろうとする。スペースを作ろうとして走る浦和の選手に、神戸の選手がつられてついていくことで、ソルバッケンがフリーでパスを中島に出すことができて、ボールをもらった中島もフリーでシュートを打つことができたのである。

 中島のシュートがうまかったことももちろんだが、中島がフリーでバイタルエリアでボールをもらえたことが大きな利点になったのだ。なぜならば、他の選手の協力なしには生まれなかった場面だからである。

 試合はその後、浦和が優勢のままでゲームを終える。結果として、1-1の引き分けだったので、勝ちきれない浦和の印象をもつ人もいるのだろうが、浦和がやっているサッカーは間違いなく面白く、理にかなっている。

 攻撃においては、チャンスを多く作っていくことでしか、得点の機会は訪れない。そのチャンスの中で決定力を上げていくことができれば、得点は重なっていく。

 浦和が上位に行けるかどうかは守備面にある。特にサイドから上げられたボールに対する対応を改善する必要があるだろう。当然、そのことはチームの中で問題点として挙げられているはずである。